公的マネーが後押しする日本の株式相場に思う

コロナ禍で経済が大きな痛手を受けているにもかかわらず、株式相場は順調な回復ぶりをみせていますが、その背景に大規模な公的マネーの後押しがあるということが浮き彫りになったようです。

年金資産を運用する国の独立行政法人と日銀が東証1部企業、約2,160社の8割にあたる1.830社で事実上の大株主になっていることが朝日新聞社の調査でわかりました。
先日の新聞記事を見てビックリしました。
これって異常としか言いようがないですよね。

4年前にくらべ倍増の公的マネーが株価を支えていると言っても過言ではないでしょう。

大量保有を報告する基準の5%以上を大株主としてみると、5%以上が約1,830社、10%以上の株式保有は約630社、20%超も28社にのぼるそうです。
保有額でみると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が36兆円、日銀が31兆円、合計67兆円で、これは東証全体の時価総額約550兆円の12%を占めているのです。
これはもう、現在の日本の株式相場が「官製相場」に様変わりしつつあるとしか言いようがないですね。

コロナ禍で経済が大きく打撃を受け、企業業績も落ち込んでいるなかで、株式相場への影響が懸念されていたのですが、一時的には乱高下しながらも、意外と早い段階で持ち直して、コロナショック以前の水準にほぼ取り戻しているわけが理解できますね。

年金資産の運用機関が株を買うのは海外でも一般的におこなわれているのですが、中央銀行が株をこのような大量に購入するというのは、国際的にも異例なことです。

「アベノミクス」による異次元の金融緩和政策のもと、お金を市場へどんどん流してきたのですが、菅政権もこの路線を継承すると公言しているのをみると、さらに多くの企業で日銀による保有比率が高まることが予想されます。
日銀の保有株はますます増え続けて、今年度中にもGPIFを抜き、日本の株式市場の事実上最大の株主となる見通しのようです。

公的マネーが株価を支えると、経済の実態や企業の業績が株価に反映されにくくなり、企業の業績や実体経済と乖離した株式相場が形成されやすくなります。
日本経済は、企業業績の悪化や失業の増大など、コロナ禍で経済全体が年初来の不況に陥っているにもかかわらず、株価だけは維持されるという「株高不況」の様相をみせております。
また、現実の経済の実態から乖離した株式相場が続くなかで、バブルの様相も否定できないような展開になっているように思えます。

これから年末にかけて、コロナウイルスの感染状況次第では波乱の展開も十分考えられますが、公的マネーの後押しがどこまで維持できるかが関心を呼ぶところですね。
今後の株式動向に注目したいと思っております。

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