アプロ君のここに注目;とどまらない消費の落ち込み

暮らし

家計の消費支出が長期にかけて落ち込んでいます。
個人消費はGDPの約6割を占めているだけに、国内景気への影響が浮きびりになりつつあるようです。
今、日本の景気はどうなっているのか、家計の消費支出の現状からアプローチしてみます。
そもそも、家計の消費支出の減少は物価の上昇が根底に横たわっているだけに、物価の上昇→実質賃金の減少→消費支出の減少といった構図でまとめてみます。

・消費者物価の上昇

まずは、直近の物価の動向を確認しておきましょう。
消費者物価の状況をみると、6月が3.9%増、7月が3.1%増、8月が3.1%増となり、去年の8月以来12カ月の上昇となっています。そして、9月が2.8%増、10月が2.9%増、11月(速報値)が2.5%増となり9月以降は3%を下回ったものの、依然として物価上昇が続いているのです。
言うまでもなく、このような物価の上昇は昨今の円安によるところが大きく作用しているのです。

・実質賃金は目立って減少

物価の上昇により実質賃金の減少もくっきりとあらわれています。
厚生労働省の発表にもとづき直近の状況をおさらいすると、実質賃金は前年同月比で7月、8月がともに2.5%減、9月は2.4%減となっていて、9月時点で18か月連続でマイナスなのです。
名目賃金は微増しているものの、物価高の勢いに賃金の伸びが追い付いていない状況がはっきりとあらわれているようです。
名目賃金に相当する1人当たりの現金給付総額をみると、7月は1.3%増、8月は1.1%増、9月は1.2%増で、いずれも物価の上昇に賃金の伸びが追い付いていないのです。
厚労省によると、22年1月以降、名目賃金は一貫して増加しているものの、それでも物価上昇分を補えていないのが現実と言えます。
勿論、上にみた数字はいずれも平均値なので、企業間の賃上げ格差が生じているのも事実で、物価の上昇分に見合った賃上げに踏み切ったところもあるようですが、中小企業をはじめやはり全体としては、賃金の伸びが鈍っているのが現状だと言えるでしょう。
このような状況の下で、かたや物価の上昇はまだまだ続きそうで、当面は賃金が目減りする状況が長引きそうだとの見方が大勢のようです。

・消費支出の現況

物価の上昇と賃金の伸び悩みは、消費の弱さにつながっています。
そこで、7月以降の家計消費支出を洗い出してみると以下のようになります。
前年同月比で7月は5.0%減、8月は2.5%減、9月は2.8%減、10月は2.5%減となっています。
10月の時点で8ヶ月連続のマイナスなのです。
要するに、家計消費支出が今年3月以降、連続で減少しているということです。
なかでも、食料の減少が際立っていて、7月が2.8%減、8月が2.5%減、9月が3.7%減、10月が4.4%減となっており、食料の減少は10月時点で13か月連続のマイナスなのです。
これをみると、長引く物価高の影響で食料をはじめ家計が支出を減らしていることが浮き彫りになっていることがわかります。

・今後の見通しとGDP成長率への影響

物価高が長引き実質賃金の減少が続くかぎり、家計の消費支出が上向くことは考えにくいことは言うまでもないでしょう。
物価高による実質賃金の減少と消費支出の減少が長引いているだけに、今年度のGDP成長への影響も懸念されるところですね。
先にも言及したように、実質賃金の減少は18か月続いており、消費支出は今年の3月以来8か月連続でマイナス(前年同月比)なので前年比の成長率はマイナスに陥る公算が大きいと言えるでしょう。
企業がさらに踏み込んだ賃上げを実現できるかが課題になるのは言うまでもないのですが、他方では直近の円高への転換が定着し、物価上昇をどの程度抑制されるのかが焦点になるでしょう。

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