アプロ君のここに注目;急騰する株価、どう見る?

株式

周知のように年明けの株式市場は連日の活況で、東証株式市場では日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を連日更新し、1990年2月以来およそ34年ぶりに3万6000円台に乗せました。
この1週間でおよそ2千円を超える上昇で、市場ではすでに過熱感も出ており今の株価を警戒する声も上がっています。その一方では、今年の株価について様々な憶測が出ており、専門筋で年内までにバブル越えを推測する強気な見方も出てきております。

そこで今回は、今の株価の現状と今後の見通しについて私なりの見方をまとめてみたいと思います。

・昨年来の株価の推移

今年に入って株価の高騰が連日、投資家の関心を集めているのですが、株価の上昇の流れは実は昨年来から続いていたのです。
2023年の日経平均株価は、2022年の大納会の終値2万6094円から2023年大納会終値3万3463円まで、28,2%の上昇となりました。
その流れのなかで、今年に入ってからは一気に急騰する事態になり、年明けに3万3,000円台からわずか6営業日で3万6,000円を付けたのです。これはまさにバブル期を彷彿させる値動きと言えるでしょう。

・株価高騰の背景と要因

株価高騰の背景としては世界全体の株価の上昇が見受けられるでしょう。
新型コロナ対策として世界の中央銀行は、通貨供給量を増やすことで景気の底割れを防ぎ経済のデフレ化を防ごうとしたのですが、これが不動産や株式の資産価格を押し上げる結果を招いたのです。
株価は2023年の年間を通じておおむね上昇したのですが、例えば米国のニューヨーク市場では13.7%、英国のFTSE100指数は3.8%、欧州ユーロ・ストックス指数は15.7%、ドイツDAX指数は20.3%などと、世界全体として株式市場の活況が垣間見ることができます。そんな中で、日本の株価は年間上昇率が28.2%に達し、世界的にも突出していると言えます。

このような日本の株価高騰の要因についてはいろんな見方があるようですが、まず考えられることは、上場企業の自社株買いが旺盛だったことが言えるでしょう。
企業が自社株買いを決議すると、資本効率を示す指標や需給の改善が見込まれるため、株価が上昇する傾向にあるのです。機関投資家が企業に対し、株主還元の強化策として自社株買いを求めたり、とりわけ、東証が上場企業に資本コストや株価を意識した経営を強く求めたこともあり、2023年の上場企業の自社株買いは9.3兆円と過去最高過去最高を更新したのです。それが企業の資本効率の改善や株主還元に対する姿勢の変化を投資家が好感して、株価を押し上げる要因となっているといえるでしょう。

次に考えられるのは、円安を背景にした海外投資家の資金流入があります。東証が発表した東京と名古屋の2市場の投資部門別株式売買状況によると、2023年の海外投資家は3兆1200億円の買い越しになったようです。その流れのなかで、年初来の株価の高騰も海外勢が主導しているとの見方が強いようです。

そこへ、今年1月から始まった新ニーサ(NISA)制度の導入による個人投資家の取引が活発になったことが影響したのではないかと思われます。実際にどの程度個人の資金が流入しているかは定かではないが、新ニーサにより投資できる金額が増え、非課税保有期間が無期限化されたため、投資層が増えかなりの個人の現金が株式に参入していると思われます。外務省のデータによると、この新ニーサにより外国人投資家だけでも、先週1週間だけで日本株を1兆2000億円分買われているようです。

・今後の見通し

さて、今後株価の高騰がどこまで続くのかが関心を呼んでいますが、冒頭でも述べたように年内にもバブル越えを予想する強きの見方も出てきています。当然、いろんな見方があってしかりですが、今後の見通しを整理するうえでポイントなる点は、今の株式相場が日本経済の実態をどの程度反映しているかということだと思うのです。

ところが日本の今の実体経済からすると、株価が高騰するような要因はほとんど見当たらないというのが率直な感想ですね。
経済力を示す最も主要な指標といえるGDPを取って見ると、2023年のGDPはこれからはっきりした数字は出ると思いますが、おおむね590兆円前後で前年比では5.7~5.8%増と予測されます。これは物価の上昇が押し上げていることもあり、これを実質GDPでみると大体1.5%程度と予測されています。
これを人口一人当たりでみると、主要7カ国(G7)で最下位にあたり、もはや経済大国などとは言ってられない事態に直面しているのです。

また、それを反映してか外需、内需ともに陰りをみせているのです。
外需の輸出は2021年秋から前年比でほぼマイナスへと陥っており、2022年10月から2023年11月までの期間に23年9月(0.7%増)以外はすべて前年同月比でマイナスを記録しているのです。
一方で、内需に目を向けると、GDPの約6割を占める家計の消費支出は昨年10月時点で8ヶ月連続のマイナスで、その原因の一つである実質賃金は昨年9月時点で18か月連続で減少(前年同月比)しています。内需の不振は企業倒産にも反映しており、昨年の企業倒産は8,497件(負債総額1,000万以上)で、2年連続の増加となり、増加率は前年比33.3%で、これはバブル崩壊後最大といえます。

このような実体経済の状況をみると、今の株価の高騰はどうにも腑におちないと言わざるを得ません。
ある種、バブルの様相に近似していると言っても過言ではないでしょう。どうみても今の株価が適正水準の相場とは言い難いと思うのです。市場では高値警戒感が漂っているのも無理はないでしょう。
このような実体経済との兼ね合いを含め、米国の金利引き下げによる日米金利差の縮小により円高への反転も株価に大きく作用するものと考えられます。

以上の状況から今後の株式相場を見通すと、波乱含みの展開は避けられないでしょうし、適正水準への逆戻りも懸念されるところではないでしょうか。
今の高騰を見て、日本株は大いに買いだと判断するのは楽観すぎと言わざるを得ないでしょう。
今後の状況を慎重に見極めることが望まれるところです。

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