アプロ君のここに注目;AIはどこまで進化するのか

科学技術

18世紀末、イギリスで開発された水力紡織機から始まった機械による人間の生産活動は、今や人間の知能に限りなく近づいているともいわれている機能を有するAIが急速に普及しつつあります。
そして、それが人間生活に大きく影響し、とりわけ経済活動に多大な影響を与えようとしております。
前回のブログでも言及したように、日本の労働生産性は世界的に大きく立ち遅れてきているだけに、AIへの関心は一気に高まりつつあるように思えます。
そこで、今回は人間の生活と経済に大きな影響をおよぼすAIというものにスポットをあてて、その現在地と今後の課題について考えてみたいと思います。

・AIとは何か

AIはArtificial Intelligenceの略語で人口知能のことをさす言葉です。すなわち、一定のデータを分析し推論や判断して最適化提案などを行う、いわば人間の知能を模倣する技術のことを意味しています。
簡単にいえば、単純な動作をおこなう機械ではなく、人間の知的能力までも補う技術の総称のことです。
今やその技術も驚くほどの進化をしていて、吹き込まれた資料にもとづいてデータを分析し判断するだけではなく、新たな創造機能までも備えたものまで出現しているのです。生成(Generative)AIがそれです。

従来のAIは、文字認識や画像認識のように、あらかじめ大量のデータを与えて特徴や傾向を学習させておくことで、入力されたデータに対して正解か不正解かを識別したり、予測したりすることが主な用途でした。
ChatGPTでよく知られているように、生成AIはまったく新しいテキストや画像のアウトプットを生み出すAIの総称のことで、コンテンツやモノについて、データをもとに学習し、まるで人間が作ったかのような新しいデータを生成できるのです。要するに、従来のAIの識別やを超えて、学んだデータをもとにまるで人間のように考えて計画し、自ら創造できるのです。
生成AIは生成するテキストや画像の創造性が従来のAIより格段に高いため、これまで「人間にしかできない」といわれていた領域の作業までカバーできる可能性があるのです。
人間のように自然に会話ができる対話型AIの「ChatGPT」が登場した時は、大きな話題になったのですが、驚きの一言に尽きますね。
人間の知能に限りなく近づいてきていると言っても過言ではないでしょう。

・生成AIとそのメリット

生成AIが注目される背景には、働き方の多様化などによって生産性の向上が求められるようになったことが挙げられます。
日本の生産年齢人口は、少子高齢化によって1995年をピークとして減少傾向が続いており、労働力不足の問題が懸案の課題として浮上しており、また、コロナ禍でテレワークをはじめとした働き方が多様化し、企業には柔軟な働き方の受け入れと労働生産性の向上、そして労働力不足への対応などが急務な課題として求められるようになりました。より少ない労働力、より少ない労働時間でこれまで以上の成果を出すには、テクノロジーの活用が欠かせません。生成AIは、その代表格といえるでしょう。
ゴールドマン・サックス・グループは世界の半数の企業が生成AIを導入することで、各国の国内総生産が年間7%アップする可能性があると試算しています。

生成AIの活用によるメリットは何よりも、様々な作業を効率化できるという点です。
生成AIは相手との関係性やコンテンツの内容などを踏まえ、文案の生成が可能なので、このようなテキスト生成機能を活用することで、資料作成やプログラミング、長い文章の要約や翻訳が可能となり、作業を効率化して生産性を向上させることができるのです。人間が一から作業するよりも効率的で、作業の飛躍的な効率化が期待されている所以です。 

生成AIはまた、瞬時に豊富なバリエーションを作成することができます。生成AIは設計者が指定した制約条件の中で、実用的で革新的なアウトプットを自発的、かつ大量に生み出すことが出来る点が特徴のひとつです。生成AIからは人間にない視点や構造を持った多数のバリエーションが生成されるため、新たなアイデアが必要なクリエイティブ活動の良いサポート約となりえるでしょう。

もう一つ注目すべき点は、コストの削減です。今まで人の手で行っていたコンテンツの作成を生成AIで代替することで、社内の人件費や外注費が削減できたり、よりコアな業務への人的リソースを投入できたりするので、生成AIを導入することで、工数や費用などのコスト削減につながると言えます。
 

・生成AI導入における注意点

上述したように、生成AIは私たちの生活や経済活動において様々なメリットがありますが、その反面で注意すべき点もあります。

なによりも、生成AIには、いわゆるフェイクコンテンツを生成してしまうリスクがあるという点です。
生成AIはテキストや画像の処理技術が高く、精巧なコンテンツを生み出しますが、情報の真偽を判断する精度はまだそれほど高くないこともあって、偽情報や誤情報を選別出来ず、それらから学習した結果、誤ったコンテンツを作り出してしまう可能性があります。これらが、詐欺や偽情報の拡散に悪用される結果を招くリスクが伴うのです。
生成AIは、まったく新しいテキストや画像を生成できるため、本物のようなテキストや画像を生み出すことも出来てしまい、詐欺や偏見に満ちた情報を作り上げたり人の尊厳を傷つけるような画像を生成したりすることも十分可能で、これによって人間社会を混乱させる恐れがあることは否めないでしょう。

生成AIの普及によって考えられるデメリットとしてもう一点強調したいのは、将来的に人間の仕事を奪うリスクがあるということです。
単純作業や条件分岐的な作業がいずれAIによって代替されても、クリエイティブな仕事や複合的な判断が求められる仕事、型にとらわれない創造性が求められる仕事は人にしかできないといわれてきました。しかし、データの処理や分析にとどまらず、まったく新しいコンテンツを生み出す生成AIの登場で、将来的にも残るといわれてきた、人間にしか出来ない職種にもAIの影響が及ぶ可能性があるのです。これによって、広い範囲で仕事が奪われ雇用が失われる可能性があるといえます。
かつて、18世紀末の産業革命の時に、イギリスで機械が導入されるとともに多数の労働者が職を失い、各地で「機械破壊運動」が起こったことが思い起こされます。

・AIが人類の脅威となるか福音となるかは人間次第

勿論、生成AIが導入されたからといって、今すぐにすべての作業を生成AIが代替してくれるわけではないし、作業が効率化できるわけでもないのですが、AIがより進化し、人間社会や企業のあらゆる分野で普及していくことは想像に難くないでしょう。
今後、生成AIが人間が従事している様々な業務を飛躍的に効率化させることが予測されますが、その一方で人間の社会生活や仕事の脅威となるデメリットもかかえていることは否定できないでしょう。
ただ、はっきり言えることは、生成AIが人間の知能に限りなく近づいていくとは言え、結局のところ、人間が操る精巧な道具に過ぎないということです。
生成AIが人類において、脅威となるか福音となるかは人間自身の倫理観や正義感にかかっているということです。
そういう意味では、生成AIが人間の知能や知性を代替し、社会・経済の発展に活用されるためには、やはり生成AIをコントロールする人間と社会の正義性が問われるのではないでしょうか。

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