物価の上昇と避けられない実質賃金の低下

物価

昨年は値上げの年と言っても過言ではないほど、ありとあらゆるモノやサービスがすべて値上げを繰り返し、物価上昇に歯止めがかからない状態でしたね。

歴史的な物価の上昇

報道されているように、昨年11月の消費者物価指数は前年比で3.7%上昇し、これは第2次オイルショックの影響を受けた1981年12月以来、なんと40年11ヶ月ぶりの歴史的な上昇になったのです。

当然のことですが、家計には大きな負担にならざるを得なく、食品値上げによる負担増だけでも年間約7万円近くになりました。ガスや電気などの光熱費を加えると大変な家計負担になっているのは間違いないでしょう。
この傾向は今年も続きそうで、すでに1月~2月の間で約7千品目の値上げが予定されているようです。

そこで今、賃上げ問題が注目をされているのです。
ちなみに、物価上昇に伴い実質賃金が昨年は8ヶ月連続で下落しており、11月には前年同月比で3.8%の下落となり、これまた8年6ヶ月ぶりの下落率となりました。
まさに、物価高に賃金の伸びが追い付いていない状況が深刻化していることが、はっきりとあらわれているのです。

賃上げ格差

そこで、政府も今年の重点課題として賃上げ問題を打ち出したのですが、はたしてどの程度に賃金が上昇するのか関心を呼んでいます。
岸田首相は先日、「インフレ率を超える賃上げの実現」を提案したのですが、企業側も一定の理解を示しつつも、現実にどの程度の上昇になるのかは不確定要素が多いようです。

大手企業では3%~5%の賃上げを想定しているようで、企業によって対応が違うようです。
とりわけ、中小企業にとっては厳しい対応に迫られており、賃上げに踏み切れない企業も少なくないようです。
東京商工リサーチが昨年10月に行った調査によると、今年の賃上げ実施予定する企業は81.6%のようですが、その内訳をみると、引き上げ幅2%未満が35.8%、2~5%が41.55%、5%以上が4.29%、実施しない企業が18.36%となっています。

ここで注目せざるを得ないのは、賃上げしない企業と2%未満の企業だけで55%近くなり、3%以下の企業を含めると約7割がインフレ率以下の水準にしか賃上げされないということです。
ということは、一部の大手企業以外はインフレ率を超える賃上げが期待できなとみるのが妥当ではないでしょうか。
ましてや、企業の80%以上を占める中小企業においては、賃上げ出来ない企業がかなりの割合を占めることも合わせて考えると、政府の要望どおりには程遠いと言わざるを得ませんね。

期待できない物価上昇に見合った賃金アップ

こうしてみると、今年一年も物価上昇は続きながらも、それに見合った賃金の上昇は期待できないとみるのが現実的ではないでしょうか。

長年にわたり日本の賃金は低迷したままで、先進国の中でも低いことが指摘されてきたのですが、今後はたして賃金の上昇が実行されるのか注目したいところですね。
また、企業間の賃金格差もそうですが、非正規雇用の比率が高まっている今日、労働者の賃金格差が一層拡大し、格差社会の一面がより鮮明に表れる事態が予想されますね。

いずれにしても、物価上昇による家計負担の軽減には公共の支援が不可欠であるということは間違いないようです。

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