アプロ君のいちからわかる経済教室;商業利潤は如何にして決まるのか

経済

前回、商業利潤とは何かについてみましたが、今回は商業資本が追求する商業利潤の源泉について立ち入って考察してみたいと思います。

前回みたように、商業資本は商品の流通過程に支出される資本ですが、流通過程では剰余価値である利潤は生産されないことは、すでに確認したとおりです。
では商業資本の利潤はどうしてうまれるのでしょうか。

商業利潤は平均利潤率の法則によって決まる

これを紐解くうえで重要なのは、利潤率平均化のメカニズムを確認することです。
すでに利潤率の平均化については、第21回の経済教室でみたように、資本主義社会では資本の競争原理によって、どの生産部門であろうと同じ大きさの資本については同じ大きさの利潤があたえられるという平均利潤率の法則が作用します。
これは産業資本相互間だけではなく、産業資本と商業資本とのあいだにも成立しているのです。
たとえばかりに、産業部門の利潤率が商業部門の利潤率よりも高いとなると、商業部門から資本が引き上げられて、より高い利潤率をもとめて産業部門へと移動します。
その結果、商業部門では資本の不足が生じ、商業資本に商品を売り渡そうとする産業資本の競争が激しくなります。このため商業資本にとって仕入れ価格が安くなるなどの有利な取引条件が成立し、商業資本の利潤率が上昇するようになるのです。逆の場合は逆の現象が生じます。
このようにして、産業部門にも商業部門にも共通な平均利潤率の法則が成立するのです。
産業資本(生産者)が商業資本(販売者)に商品を売り渡す場合の価格は、このような平均利潤を両者にもたらすような水準で決まるのです。

商業利潤は剰余価値の一部

このような関係について数字を例にとってみましょう。
かりに産業資本の総量を500億円とし、剰余価値(利潤)の総量を150億円とします。すると平均利潤率は30%になります。つぎに、この平均利潤率が形成された時の商業資本の総量を250億円とします。そうすると、これを含めた場合の平均利潤率は社会全体の資本750億円(500億円+250億円)に対する150億円の剰余価値(利潤)ですから20%になります。したがって、産業利潤は投資額の500億円に対する20%ですから100億円、商業利潤は商業資本の250億円に対する20%で50億円になります。
こうして、産業資本によって生産された150億円の剰余価値(利潤)は産業資本に100億円、商業資本に50億円の儲けが平均利潤率によってあたえられるのです。

このようにして、商業利潤は平均利潤率の法則のもとで、産業資本が生み出した剰余価値(利潤)が分配されたものとして商業資本に帰着するのです。

以上でみたように、外見上「安く仕入れて高く売る」ことによって発生する商業利潤の真の源泉は、ほかでもなく産業資本が生産した剰余価値(利潤)の一部であることがわかりました。

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