アプロ君のここに注目;「利上げ」にも止まらぬ円安、何故?

円相場
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周知のように、去る3月19日、日銀は17年ぶりにマイナス金利政策を含む大規模金融緩和の見直しを決定しました。これを受けて市場は当初の予測に反して、株高、円安に拍車をかける動きを見せています。 事実上の利上げだというのに、年初来の株高は反落せず、円安もとどまる気配をみせず、とうとう1ドル=154円台(4月16日現在)にまで値下がりしているのです。通常であれば、利上げは株価にとってはマイナス材料になり、為替相場においては円高要因なのです。
世間は「利上げなのに何故円安」という疑問も拭いきれないでいるのが率直なところではないでしょうか。そこで、今回はこの原因と影響にについてまとめてみます。

・マイナス金利政策の見直しとは

そもそも、マイナス金利政策は2016年1月に日銀が金融緩和政策をより強化するために導入したもので、日銀が金融機関から預かる当座預金の一部にマイナス0.1%の金利をつけることで、銀行に預金が積みあがると損をする環境を生み出し、金融機関が世の中におカネを回すようにする狙いがあったのです。

今回、このマイナス金利を解除したということなのですが、その中身はマイナス0.1%の金利を0~0.1に変更したということで、実質的な変化はほとんどないと言っても過言ではありません。なのでマイナス金利の解除は表面的には「利上げ」ですが、実質的には利上げとは言えないのです。
事実、植田日銀総裁自身が今回の政策変更をうけて、預金金利や貸出金利が大幅に上昇することはないとの認識を表明しているのです。
そういう意味では、今回の政策変更はもはや異常な政策をしなくても良くなったということのアピールであり、正常化へ向けての第一歩というサインを示したということの意味合いが大きいでしょう。

・慎重な利上げに対する日銀のスタンス

市場が株高と円安に反応したのは、日銀が先の利上げには慎重なスタンスを表明したことも大きな要因があると言えます。
日銀総裁がマイナス金利解除の宣言をした会見で、一方では当面として緩和的な金融環境が継続すると考えていることをはっきりと述べているのです。要するに「追加の利上げ」を急がない考えを示唆したのです。このことが、市場ではダイレクトに反応したのではないかと思われます。

一部では年内に追加利上げがあるのではと憶測がくすぶっているのですが、日銀の緩和スタンスは大きくは変わってないのではないでしょうか。
というのは、日本の国債発行額が約1200兆円という先進国でも突出した規模に達しているのですが、その半分以上を日銀が保有しているという事情が横たわっているのです。この状態で金利を上昇させれば、当然、国の利払い負担が重くのしかかってくるのは疑いの余地がないでしょう。
日銀はこの負担を最小限に抑えたいから、簡単に利上げすることは出来ず、ゆっくりとした利上げしかできないのが実情なのです。

・依然と縮まらない日米金利差

一方で、米国のインフレが期待ほどに収まっていない事情も関係しているようです。
円安=ドル高の直接的な要因が日・米の金利差にあるだけに、米国の利下げスタンスが大きく作用することは疑いの余地がないでしょう。
ところが米国のインフレが十分に収まっていないとなると、米国は利下げスタンスに慎重にならざるを得ず、これまで年3回の利下げが言われてきたのですが、これも修正される可能性が高まっているのです。
米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.5%と据え置いてきたのですが、2023年12月に示した経済見通しでは、時間をかけて金融引き締めから転換させ、今年の政策金利予想を4.6%と示唆していたのです。
かりにこの見通しの通りになったとしても、日本の政策金利が0.1%~0.2%だとすると、年末時点の日米の政策金利は依然と大きな開きがあるのです。これでは円安の基調は変わりようがないのです。

米国のインフレが再燃し、再び利上げしないといけない状況になれば、米国の株式市場はもとより、日本の株式市場にも大きなダメージを受けることは必至であり、円相場もさらなる円安を招くことになるでしょう。中長期的にみれば1ドル=160円を超えることも十分ありえるのではないでしょうか。
日本政府は「度を超えた円安」には円買い介入で対処することを匂わせていますが、一時的な円高効果はあるとはいえ、中長期的にみれば円安圧力は拭いきれないと言えるでしょう。

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