かつて高度成長の中、経済大国として大きく飛躍した日本のGTP(国内総生産)ですが、バブルの崩壊以後、ほぼ30年以上の期間はゼロ成長時代を迎え「失われた30年」とも言われてきたました。しかし、未だにその打開策を見いだされていないのが現実で、バブル経済の崩壊がその後の日本経済にいかに甚大な影響をあたえてきたのか、その傷跡がいたたましく思えてなりません。
今回は、日本のGTP成長率の現在と今後の課題について考察してみます。
・国内総生産(GTP)と経済成長
まず、基礎概念を確認することにしますが、類似することばとしてGDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)があることは周知のとおりです。
GNPとは1年間に国内外で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表しています。それに対してGDPは同じ期間に国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額のことです。なので、たとえば日本企業が海外で生産したモノやサービスの付加価値は含まれないのです。
両方とも、国の経済規模を表す経済指標として用いられてきたのですが、日本では1993年からGDPが代表的指標として使われるようになりました。というのも、経済グローバリゼーションの普及に伴い、国内経済の規模や実情を把握するうえで、GDPがより正確に表すようになったことが背景にあります。
さて、そこで現在は各国とも基本的に経済成長の実情をこのGDPで表すことが一般的なのですが、GDPの上昇率を経済成長率として判断するのです。すなわち、1年前と比較して同じ経済活動で生み出した付加価値の合計額が多ければ、GDPは増加するため、経済成長率はプラスになります。言い換えれば、持続的に経済成長率が上昇している場合は、経済成長しているということです。
経済成長は国の経済規模や国内での経済活動全体の状況を表すとともに、国民が収入を上げ、長期的に豊かな生活を送り生活水準を不断に上げるために必要な条件と言えます。たとえば、1人当たりのGDPは、文字通り国民1人当たりの収入の規模や生活水準を表すのです。つまり、経済成長することはすなわち国民の生活水準をあげることに繋がるのです。
・日本のGDPの現状と実体
さて、そこで日本におけるGDPの規模や経済成長の実情について探ってみたいと思います。
日本のGDPは、長い間米国に次いで世界第2位の規模にありましたが、2010年頃から中国に抜かれ、直近ではドイツにも抜かれて世界第4位にまで順位が下がっています。
内閣府の統計に基づき実質GDPの過去からの推移をみると(内閣府、国民経済計算)、1990年代の10年間で成長率は13.8%(424,2兆円→482,6兆円)、2000年代は5.8%(482,6兆円→510,7兆円)、そして2010年から2022年は7.4%(510,7兆円→548,6兆円)と、近年における成長率は緩やかなものにとどまっています。
2010年以降の実質GDP成長率(年率換算)を先進6カ国(米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本)との比較で見ると、米国が2.3%、イタリアが1.5%、ドイツが1.4%、英国が1.3%、フランスが1.1%、そして最後に大きく離されて日本は0.6%となっており最下位なのです。
年率換算の成長率は、毎年その比率が積算されていくことになるため、コンマ数%の違いであっても長期的には大きな差になるので、この10年ほどの成長率の差は日本経済のパフォーマンスがかなり悪い状態にあることを示していると言えるでしょう。
この状況は現在も続いており、ほぼゼロ成長の状況が今日まで引きずって、まさに長期の「低成長時代」から抜け出せないでいるのが現状です。「失われた30年」と言われている所以ですね。
・直近のGDP成長率と課題
去る3月11日、内閣府の発表によると、2024年10~12月期GDPは物価変動の影響を除いた実質で、前期比0.6%増、年率換算で2.3%のプラスだったようです。その結果、2024年暦年では0.1%増と4年連続でプラスを維持したようです。また、24年通年の名目成長率は前年比2.9%増で、実額は609兆2887億円と過去最高になり、初めて600兆円を超えました。
ただ、中身を見ると手放しで喜ぶ状態ではないのです。
GDP成長率の寄与度は個人消費などの内需がマイナス0.1ポイント、輸出から輸入を差し引いた外需はプラス0.7ポイントで、輸入の減少が成長率を押し上げた格好なのです。要するに、GDPの約6割にあたる個人消費が伸び悩み、輸入が減少しているように国内需要が低迷していて、全くと言っていいほど国民の実感からかけ離れた見せかけの「成長」と言っても過言ではないのです。
名目GDPの実額がはじめて600兆円を超えたと発表されましたが、これも額面通りには受け取れないのです。というのは、長年の金融緩和で円安が進み、米ドルに換算した名目GDPは実は5年連続の減少となっているからです。
米ドル換算の名目GDPを見ると、第2次安倍政権が発足した2012年をピークに減少基調が続き、現在は3分の2程度までしぼんでいるのです。世界のGDPに占める日本のシェアは2012年の8.3%に対し、2023年は4.0%と落ちこみが際立っています。国の豊かさを示すとされる1人当たりの名目GDPも、米ドルに換算すると日本の減少が著しいのです。これでは、GDPがわずかながら成長したとしても国民が豊かさを実感できないのは当然と言えるでしょう。
昨年、3600万人を超え過去最高を記録した訪日外国人の消費拡大もGDPに寄与したとされていますが、外国人客が喜ぶ「安いニッポン」は円安の結果であり、国民の生活水準低下の裏返しとも言えるのではないでしょうか。
「値上げラッシュ」が依然として留まる気配がなく、物価高に歯止めがかからない中、実質賃金は伸び悩み、国民の消費マインドは冷え込んでいるだけに、国民の実感を伴う経済成長を実現するには、物価高を上回る賃金の大幅な上昇を来すしかないのです。
また、見せかけの成長ではなく国民の豊かさにつながる内実の伴った成長を来すためには、政府による輸出企業中心の円安誘導策を転換して、円安の進行を食い止めることが望まれるでしょう。

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