アプロ君のここに注目;急増するコメ農家の倒産・廃業

コメ問題
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最近、毎日のようにニュース沙汰になっているように、コメの品薄や新米の高騰が社会問題になっているのですが、そんな中でコメ農家の倒産・廃業が急増していることが憂慮されています。
私達の生活において欠かせないコメ農業は、日本の伝統的な産業として食の自立を保ってきた大きな要因であったのですが、今やコメの安定的な供給が危ぶまれているのです。
そこで一体、農村で何がおきているのか、その実情に迫ってみたいと思います。

・急増するコメ農家の倒産・廃業の実態

コメ作農業の倒産・廃業の件数をみると、負債1000万以上で2020年が19件、2021年が27件、2022年が29件、そして2023年が35件と年々増加傾向にありましたが、今年に入ってからはより加速していて、1~8月までにすでに34件も発生しています。その内訳は倒産が6件、休廃業・解散が28件となっており、いずれも負債1000万以上の場合です。
このように、昨年の年間倒産・廃業の35件を大幅に上回り、年間で最多になることは確実とみられています。負債額1000万以下のコメ農家まで含めると、かなりの数になるのは間違いないでよう。

このようなコメ農家で倒産や廃業が急増する背景には、生産コストの上昇や後継者・就農者不足など様々な要因が作用していると思われます。

農林水産省の調査によると、2023年における農業に必要な生産資材の価格は、3年前の2020年平均に比べて1.2倍に上昇しています。なかでも、原料の多くを輸入に頼っている肥料は1.5倍、ガソリン・軽油などの値上がりで光熱動力費は1.2倍、薬剤は1.1倍とおもな資材のほとんどが値上がりしているのです。

また、コメ農家では就業者の高齢化や離農が進む一方、次世代の担い手が見つからないなど後継者不足の問題が深刻な問題として顕在化しています。
農業従事者の平均年齢は約70歳で、いわば高齢者が農業を支えていると言っても過言ではないのですが、農業を続けることがむつかしい状況にあるにも関わらず、農業をやっていて入る収入と、他の職業の収入との差がなかなか縮まらないこともあって、次の担い手が農業に就かないことが後継者不足としてあらわれています。

その上、国内人口の減少や、食生活の多様化などにより国内のコメの消費量が減少傾向にあり、このことがコメ農業の収益低下に大きく影響を及ぼしていることも離農者の増加の要因と言えます。
農林水産省の調査によると、コメの消費量は1962年をピークに減少し続けて2010年の時点で、約半分にまで減っています。これを、1人当たりの消費量でみると、1962年に118.3㎏であったのが2010年時点で59.5㎏に減り、2020年では50.7㎏に減少しています。
この理由としては、パンやパスタ、そば、うどんなど様々な主食を食べる人が増え、いわば食の多様化が挙げられるでしょう。
国民のコメ離れを反映し、作付け面積も減っておりコメ農業における収益を大きく下げる結果を招いているのです。

・危ぶまれるコメの自給と課題

このように、コメ農業にとってけっして環境は良いとは言えないのが実情ではないでしょうか。
昨今の資材高騰と値上げ難による厳しい経営状態や農家の高齢化、労働環境や収益の悪さ、国の減反政策によるコメの生産調整など、コメ作りを巡る環境は厳しさを増すばかりです。
とりわけ、小規模のコメ農家は利益を出せていない状況が続き、廃業に追い込まれるところも少なくないようです。

このままでは、コメ農家の倒産・廃業は増えるばかりで、将来的に主食のコメが安定的に供給できなくなり、深刻なコメ不足に陥る可能性も否定できないでしょう。
聞くところによると、表面化してはいないのですが、コメの生産を諦めた農家による耕作放棄地が増加していることも決して看過できないでしょう。

主食であるコメの供給問題が危ぶまれている今日、コメ農家の自己責任に委ねて放置する問題ではけっしてないはずです。
就労環境の整備やITの導入による農業の効率化などが求められているとされていますが、これらの課題はコメ農家の個々の努力では対応しきれない問題が山積しているのです。
この夏から続いているコメの品薄や新米の価格高騰は、今のコメ農家の深刻な状況の表れでもあり、しいては国の稲作政策への再検討を突きつけた事案でもあるのではないでしょうか。
価格重視の政策からコメの安定的供給優先の政策への見直しが不可欠でしょう。
国民の主食であるコメの自給を守り、安定的な供給を保証するうえで、国の責任ある対応とコメ農家への支援が欠かせないことは言うまでもないでしょう。

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