アプロ君のここに注目;どう見る、株価の暴落

株式

ついに株式の暴落が始まりました。起こりべくして起こったと言っても過言ではないでしょう。
以前から、現在の日本の株価がバブルの様相を見せていると、繰り返し述べてきたのですが、バブルは必ず弾ける如く、ついに株式の暴落が起こったのです。
若干は持ち直しの様相もみせていますが、今後の展開が気になるところでしょう。
そこで、今回の株式暴落の原因と今後の展望について私見を述べてみます。

・株価は過去最大の落ち込み

周知のように、去る8月5日の日経平均株価が前週末に比べて4451円安い3万1458円の値をつけました。終値ベースとしての下落幅は、世界的に株価が大暴落したアメリカの「ブラックマンデー」を受けた、1987年10月20日の3836円安を大きく上回り、過去最大の暴落となりました。
7月11日の最高値(4万2224円)からすると、1万円強の下落になります。
前日比の下落幅はもとより、1ヶ月足らずの間にこれだけの下落はかつてなかったことで、まさに暴落としか言いようがないでしょう。株式市場はまさにパニック状態に陥ったのもうなづけますね。

振り返ってみると、空前の円安と金融緩和を背景に今年に入り日経平均株価は急上昇し、3万3000円台から3月には3万9000円台と2割も上昇し、外国投資家の日本株買いにも後押しされながら、ついに7月には4万円台へと史上最高値を更新し続けてきたのです。

すでにこの時点で株式相場は過熱感が湧き出てきていたのであって、デフレ経済からの脱却を果たせないまま、実体経済から乖離したいわば「バブル」の様相を表していたのです。

日銀による金利引き上げの噂が流れる中で、8月1日には950円の下落、2日には2200円の下落に続き、売りが売りを呼ぶように、ついには5日の4000円を超える大暴落がおきたのです。

・株価暴落の背景

さて、このような株価の暴落の原因をどうみるのか。

一般的に言われているのが、日銀の利上げ説と米国の景気悪化懸念による利下げ観測説です。
まずはじめに、今回の株価下落は7月31日の金融政策決定会合での政策金利0.25%程度の追加利上げ決定を契機にしたものです。追加の利上げを決定し、今後さらなる金利の引き上げを匂わせたことから、円高が一気に進み、7月31日から8月5日にかけて日経平均株価は約7600円、約20%も下落したのです。1ドル=160円台が定着しつつあった為替レートは、過去最大の下落を表した5日には1ドル=141円まで円高が進みました。
要するに、これまでの株高を支えていたのは主として円安だったのですが、日銀の金利引き上げと一方でのFRBの9月の利下げ言及を機に、円高が急激に進行し、株価暴落につながったようです。

暴落の原因として次に強調されているのが、米国で発表された経済指標が市場の予想よりも悪かったので、アメリカの景気が後退するのではないかという懸念が一気に広がったことです。とりわけ、アメリカの雇用統計が市場予想を大きく下回ったことで株価が下落し、それが日本にも影響したと考えられるということです。

これらをまとめてみると、一方では日本の金利が上がり、他方では米国の金利が下がる可能性が高まったことによって、為替相場に影響し円高が急速に進行したということが基本原因だということです。

問題はこれらの直接的な契機と原因を見る場合、表面的な捉え方では不十分なのです。
そもそも、日本の株価は今の実体経済からして、確実に乖離したバブル状態にあるということです。
アベノミクスのもと、長らくジャブジャブ状態にあった通貨が、弱りつつある実体経済に行き場を失い金融市場へと流れ込み、それがまた円安を背景に外国資本までも呼び込む結果を招き、一気に株高を招くことになったと言えるでしょう。
そういう意味では、「実感なき景気回復」のなかで作り出された「株バブル」であり、その崩壊が今回の暴落の本質と見るできでしょう。

・今後の見通し

直近の日経平均株価をみると、直近で3万8千円台(8月16日時点)まで回復しているようですが、市場の動きは、まさに乱高下で今後の見通しが取りにくい状況にあると言えます。
日本と政策当局の要人の発言や、米国FRBの要人の発言がデリケートに影響しつつ株式相場が変動している、まさに腫れ物に触るかのような神経質な展開になっているようです。

現時点で、円相場は147円台後半まで値下がりし、それを受けて株価も3万8000円台まで戻しているのですが、「もう調整は終わった」とみるのは早計ではないでしょうか。

株というのは、上がれば下がり下がれば上がるという側面も当然あるでしょう。しかし、行き過ぎた上昇には必ずその急激な反動が付き物で、それがあるきっかけで一気に急落・暴落することは常々起こりえることなのです。

本来、貨幣経済は実物経済の裏打ちがあってこそ安定するのであって、貨幣経済が独り歩きする時はなんらかのリスクがつきもので、それがどういう形で現象するかは、その時の経済状況によって様々なのです。
日本の実体経済や景気の動向からすれば、日経平均で3万8000円というのも、はたして妥当な相場なのか吟味してみることも必要ではないかと考える次第です。

遡れば、1929年の大暴落時や1987年のブラックマンデーの時も、乱高下を繰り返しながら下がり続けたのです。暴落の本質的原因はバブルそのものであるだけに、バブルが完全に崩壊するまで反転があればあるだけ再度下落するのです。

かつて、「失われた30年」ともいわれるつらい経験を長らく経ているだけに、最悪のシナリオだけは避けたいことを願うばかりですね。

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