アプロ君のここに注目;いつまで続く?「値上げラッシュ」と物価高

物価
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2024年もあと数日で幕を閉じようとしていますが、今年一年を振りかえって痛感するのは、やはり「値上げラッシュ」と物価高の一年だったことではないでしょうか。昨年に続いて今年も「値上げラッシュ」は留まる気配がまったく見えないでいます。
そこで、今回はこの「値上げラッシュ」と物価高はいつまで続くのか、何が問題なのかについて私なりの認識をまとめてみます。

・今年の「値上げラッシュ」を振り返って

今年の値上げ状況をみると、食品や各種サービス、流通費や光熱費など、ほぼ全ての分野で値上げされました。中でも「令和のコメ騒動」といわれるコメの品薄と新米の価格高騰は国民の生活に大きな打撃になったことは言うまでもないでしょう。

統計によると、家庭用を中心とした今年の飲食料品の値上げは累計で1万2520品目に及びました。バブル崩壊以後の過去30年間でも例を見ない記録的な「値上げラッシュ」となった2023年の3万2396品目に比べて約6割減少したとはいえ、値上げが常態化していることに間違いないでしょう。

24年の飲食料品の値上げを月別にみると、2月が1626品目、4月が2897品目で、以降は月当たり1000品目を下回る水準が続き、10月には酒類・飲料を中心に年内最大となる2924品目で値上げとなり、11月は前年同月を上回る値上げで、値上げペースが加速する兆しがみられました。とりわけ、8月以降のコメの品薄に続き、新米の価格高騰は3割~4割に至りました。
こうしてみると、も22年~23年に続いて、今年の値上げもまさに常態化していることがはっきりと見てとれるでしょう。

値上げの要因としては、異常気象に伴う原材料高や物流費および包装資材などの費用の増加、円安による輸入物価の高騰、最低賃金の引き上げなど賃上げによる人件費コストの上昇などが指摘されています。

・「賃金の引き上げ」と「値上げ」、何が問題?

上でみたように、「値上げラッシュ」が常態化しつつある要因として、注目せざるを得ないのは「賃上げの引き上げ」による人件費コストの上昇があげられますが、以前と比べてこの要因の度合いが高まっていることです。
値上げ要因をみると、22年~23年までは自然災害や円安による原材料高やエネルギー価格の高騰が大きな比重を占めていたのが、24年の場合、その要因に加えて最低賃金の引き上げなど人件費コストの上昇が全体の約27%を占めるようになっており、今後この人件費コストの上昇が値上げの重要な要因として大きな比重を占めることが予測されます。

ただ、このように考えると物価高対策としての賃上げが、一層の物価高を招く本末転倒な結果を招くことになりかねないのです。要するに、企業が政府の賃上げ要請に従えば、人件費の上昇を理由に商品の価格に転嫁することによって、さらなる物価高を引き起こすという悪循環に陥ることになるのです。
こうして、物価高対策としての賃上げ効果は打ち消されしまう構図が形成されているのです。まして、月給制でない事業者や年金生活者の状況を考えると、状況改善どころか一層の苦痛を与える結果になりかねないのです。

このような本末転倒な悪循環を無くすには、企業へのプッシュが欠かせないでしょう。というのも、大企業をはじめ企業の利益や内部留保は過去最高を記録しているのです。
財務省が発表した法人企業統計調査によると、23年度の国内企業の内部留保は600兆9800億円で過去最高を記録しました。 要するに、一方では物価高対策として賃上げし、他方ではそれによる人件費の上昇を理由に企業はまた値上げをするといったサイクルのなかで、企業の内部留保はどんどん膨らんでいくのです。結果は物価高の賃上げ効果は打ち消され、企業だけが潤うということになるのです。
国民の生活改善のためには当然、この仕組みに対して何らかのメスを入れるべきではないでしょうか。

・「値上げラッシュ」、いつまで続く?

さて、それではこの「値上げラッシュ」と物価高はいつまで続くのでしょうか。

すでに1月~4月までにパンや酒類など6121品目の飲食品値上げが決定しているようで、このうち、年明けの1月から1380品目が値上げされる予定で、1月としては過去最多になるようです。
また、23年12月時点で判明した24年の値上げ予定品目数が3891品目だったのに対し、25年の値上げ品目数は約6割の増加となり、25年春にかけて24年を上回る「値上げラッシュ」が常態化する見通しとなっています。
1回当たりの値上げ率平均は18%と見込まれており、2024年(17%)と同等か、もしくはさらに上回る水準で推移する見通しとなりました。

1月~4月の値上げで最も多い食品分野は加工食品(2131品目)で、全体の約3割を占めており、次いで多いのが酒類・飲料で1834品目に及ぶものと見込まれています。特にビール類では4月に大手4社で価格が引き上げられ、23年10月以来1年6か月ぶりの「値上げラッシュ」となります。 まさに、国民の生活を直撃することになるでしょう。
2025年の値上げは、24年のトレンドを引き継ぎ原材料費などの高騰に由来する値上げが多くを占める一方で、物流費などサービス価格上昇の影響を受けた値上げが拡大傾向にあるようです。
また、注目を引くのは最低賃金の引き上げやベアアップなど賃上げによる影響を含む人件費由来の値上げが約44%に膨らみ、23年以降最高値となっています。
先に述べたように、収入増の取り組みが物価高を悪化させる理不尽な結果としてあらわれているのです。

2025年5月以降については不透明な状況ながら、足元の円安傾向によって輸入品の調達費用が再び増加することが想定され、24年内に実施した賃上げによる人件費増などの要因が大きく作用して粘着質な値上げトレンドの継続が見込まれるでしょう。
2025年通年の値上げ品目数については、現状のペースが続いた場合、24年の「値上げラッシュ」を上回る年1万5000~2万品目前後に到達する可能性も十分にあると推測されています。

総じて言えることは、「値上げラッシュ」と物価高は、今のところ落ち着く気配が見受けられる要素が無く、今後も常態化しつつ断続的に起こることが推測できるでしょう。
賃金アップが一層の物価高を招き、賃金上昇と物価の上昇が悪循環しながら、働き手の実質賃金の低下が常態化するトレンドが出来つつあるだけに、国民の生活改善において政府のテコ入れが鍵になるのは言うまでもないでしょう。

いずれにせよ、来年2025年も厳しい一年になる気がしてなりません。

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