アプロ君のここに注目;逆風続く中小企業経営の実態を憂う

企業動向

昨今、乱高下しながらも最高値を記録しつつある株高とは裏腹に、企業倒産は増加傾向にあり、とりわけ中小・零細企業の倒産や休廃業は急増し厳しい状況に置かれています。今回は企業倒産の実態に迫り、中でもますます厳しい環境におかれている中小・零細企業の経営実態についてアプローチしてみます。

・2025年、企業倒産の実態

帝国データバンクの調査によると、2025年の企業倒産件数(全国・全業種)は、1万261件(前年9901件)と4年連続で前年を上回り、2013年(1万332件)以来12年ぶりに年間1万件を超えました。これを負債額規模別でみると、負債額「5000万円以上」のすべての業種で倒産は減少し、「5000万円未満」の小規模倒産のみが2024年から増加(7.8%)しており、いわば「負債の小型化」が一段と進んでいると言えます。
このことは倒産件数が増えているにも関わらず、負債総額が減少していることではっきりと表れています。倒産企業の負債をすべて足し合わせた負債総額は1兆5668億8800万円で、前年より29.4%減少しました。

一方で、2025年に休廃業・解散に追い込まれた企業は6万7949件、破産・特別清算企業が9966件にのぼり、全国・全業種で中小・零細企業の約8万社が市場から退出し消滅しました。
休廃業した企業の雇用者数は少なくとも累計9万3000人超に及び、前年の8万7000人から約6000人増加し、2016年以降で最多を更新しました。
資本金別にみると、100万~1000万円未満が44.7%で最も多かったのですが、これはコロナ禍前の2019年(44.0%)よりも上回っています。資本金100万円未満の企業も8.8%で、上昇傾向が続いており、昨年は資本金1000万円未満の企業による休廃業・解散が過半数を占めました。

このようにみると、昨年の倒産や休廃業・解散した企業は中小規模・零細業者を中心に数多く発生した1年だったと言えます。

円安を背景に輸出企業をはじめ大手企業は比較的好調な業績を維持する一方で、中小・零細企業は物価高や賃上げ、人手不足などの経営課題に直面し、市場退出を迫られている実態が見て取れます。

・中小・零細規模倒産の背景

周知のように、2020年以降コロナ禍で経済が大きな打撃を受けたのですが、実は企業倒産は各種補助金や助成金、「ゼロゼロ融資」に代表される金融支援により21年までは減少していました。
ところが、コロナ禍の収束に伴い各種支援が段階的に終了したことで、22年以降、徐々に倒産が増加し、21年からわずか4年間で1.7倍にまで膨れ上がったのです。

この倒産急増の背景には、コロナ禍に延命した企業が力尽きたことがあげられます。ポストコロナにおいて受注が戻らないことや客足が戻らない、生活変容に対応できないなどの要因で倒産に至ったことが要因としてあげられるのですが、特に中小・零細企業などコロナ禍以前から財務体質が脆弱だった企業は、昨今の人手不足や物価高に対応できる余力がなかったことが考えられます。

ゼロゼロ融資で資金繰りしてコロナ禍を乗り切った企業が、利子や元金返済の据え置き期間が終わり返済が始まったことにより、返済に追い込まれて廃業に至る企業が少なくないようです。

資金繰りが厳しい状況の中、加えて原材料や光熱費、人件費などのコストが高騰していることが打撃を与えているのです。飲食業やサービス業など中小・零細企業においてはコスト増をそのまま価格に転嫁しにくい面もあり、そこへゼロゼロ融資の返済が重なり経営が行き詰まるケースが急増しているのです。

このように、資金力の脆弱な中小・零細企業においては、昨今の物価高や人手不足に追い打ちをかけるように、コロナ禍の「後遺症」が重くのしかかり倒産へと追い込まれたことが背景として考えられます。

・厳しさ増す経営環境を憂う

先述したように、「負債の小型化」が進んだことが2025年の企業倒産の特徴といえますが、2026年も引き続き、物価高や人手不足に加えて、利上げによる借入金の利払い負担増が待ち構えるなど、中小・零細企業を取り巻く2026年の経営環境はさらに厳しさを増し、小規模倒産が高水準で推移することが予測されます。

労働市場の流動化が進み、就職・転職市場での売り手市場が続くなか、今後も「人手不足倒産」が増加する可能性が高いだけでなく、長引く物価高の影響は全業種で波及しており、倒産に至らずとも、業績が悪化している企業が増えているのが現状です。価格転嫁を進めない限り採算の改善は難しい一方で、価格転嫁を進めれば受注減少や顧客離れが進む可能性があり、経営者は絶えず難しい判断を迫られています。

今年から中小受託取引適正化法(取適法)が施行されたことも見逃せません。この同法は、発注者・受注者の対等な関係に基づき、事業者間における価格転嫁及び取引の適正化を図るためのもので、協議に応じない一方的な代金決定の禁止がうたわれており、今後は価格転嫁がより一層進む可能性があると言われています。これは飲食業者をはじめ中小規模小売業者などにとって大変厳しい判断に迫られることになるでしょう。

また、収益力の回復や過剰債務の解消が遅れ、後継者問題や他社との差別化にも多くの問題を抱えた零細業者を中心に、手元資金に余裕があるうちに会社をたたむ「静かな退場」がさらに加速するおそれがあります。

このように、今後も高止まりする物価や加速する人手不足に伴う人件費高騰、そして借入金利の上昇など、企業のコスト増加は避けられないのが実情であり、さらには日中関係の悪化や対米関税による負担は大企業のみならず、中小・零細企業への影響も顕在化してくることが予測されます。

いずれにせよ、このような環境のなかで、価格交渉力や財務基盤の安定性の保持、人事採用力や環境変化への対応力の有無によって、成長する企業と淘汰される企業の二分化が進む一年になるのではないでしょうか。

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