アプロ君のここに注目;コメの品薄と価格高騰、一体何故?

コメ問題
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「あっ、コメが無い」。先日、スーパーでいつものコメ棚にコメが空っぽになっているのを見てびっくりしました。普段はぎっしりとコメ袋が重ねて陳列されているはずが、全く姿を消していたのです。驚いたのは私だけではないでしょう。

棚には「天候不順で入荷が限られておりご迷惑をおかけしています」などの張り紙が貼ってある始末。店員さんに確認すると、当分は入荷がまだ不確定で十分な供給が出来ない状態にあるとのことでした。

噂には聞いていたのですが、品薄状態を目の当たりにして、少し驚きを隠せなかったのですが、ちょっとした「食料危機」とでもいいましょうか、かつてない状況になっていることを痛感しております。
そこで、今回はこのコメの品薄状態や価格高騰が何故おきているのか、まとめてみたいと思います。

・コメ不足の再来

「令和のコメ騒動」と言われている今回のコメの品薄が顕著になったのは7月中旬からです。
地域によって差があるものの、スーパーでのコメが品切れ状態に陥り消費者の不安を醸し出しています。

農林水産省の公表によると、6月末時点のコメの民間在庫量は156万トンで前年同期比41万トン少なく、これは比較可能な1999年以降、過去最低の水準なのです。今年3月に示した見通しの177万トンより21万トン下回ったようです。
その原因は、猛暑により2023年産のコメの生産が不振であったことに加え、インバウンド需要の急増や、他の食物に比べ値上がりが比較的緩やかだったコメの消費が増えたことにあると言われています。

かつて日本のコメの需要量は、年々減少傾向にあって、年間で2014年に約800万トンだったのが、2022年までで約100万トン近く減少していたのですが、23年7月から24年6月までの需要量は702万トンで、前年比11万トン増と10年ぶりの増加に転じたのです。
農林水産省の分析によると、インバウンドによるコメの需要が約5万トンで、前年に比べて約2.7倍に増えたこと、そして輸入食材全体の価格が大きく上昇する中、コメの価格は比較的緩やかだったことが需要を押し上げたようです。

総務省の家計調査でもコメ消費の高まりが明らかです。昨年の1年間のコメの販売数量は、前年比98.7%だったのが、今年1月から6月までの販売数量は前年同期比102.4%と増加基調にあるようです。
ところがその反面、供給面では昨年夏の猛暑による高温や渇水被害により、精米された商品が少なかったようです。

このようにて、コメの需給ひっ迫感が強まったことがコメ不足の再来に繫がったようです。

・コメの価格も高騰

コメの需給ひっ迫を表してコメの価格も高騰しているのが伺えます。

コメは農業協同組合が農家から集めて卸売業者に販売し、卸売業者からスーパーや飲食店などへ流通する形が主流です。そして、農協などと卸売業者が相対で決めた価格を農林水産省が毎月調べ、公表しているのが「相対取引価格」で、コメの価格の代表的指標とされています。

7月中旬に発表された「相対取引価格」をみると、6月は令和5年産米の全銘柄平均で玄米60キロ(1俵)当たり1万5865円で、平成24年産米が1万6127をつけた平成25年以来、約11年ぶりの高値水準となっています。

そんな中、一部で行なわれている業者同士のいわゆるスポット取引の価格も高騰して、60キロ当たりの仕入れ価格が毎月1000円ベースで上昇している有り様で、こうした価格上昇がまた、スーパーや飲食店の価格を押し上げる結果を生み出しているようです。
記憶にも新しいのですが、冷夏などで国内が深刻なコメ不足に陥り、タイ米の輸入などでしのいだ、あの「平成のコメ騒動」(1993年)の時よりも急激な価格高騰だという声も出ているようです。

・何が問題?

コメの品薄と価格高騰が続くなか、8月には新米が出て来るので品薄や価格の上昇は落ち着くであろうという見方がある一方で、今年の作況次第では当分は品薄状態が解消できなくなり、流通量も不確定要素が多々あるという予想をたてる職者も少なくないようです。

上述したように、今のコメの品薄や価格高騰の原因が、自然災害による一時的な不作によるところも勿論あるのですが、根本的には供給面で需要に十分対応できる体制を整えていないという側面を見逃してはならないでしょう。

コメの供給不足は、農家の作付け意欲の低下や農家の高齢化や後継者問題も根底に横たわっていて、需要増に速やかに対応できない構造的な問題もかかえているのです。
それだけでなく、国の政策の影響も無視できないでしょう。

農林水産省は2024年度予算で水田を活用して麦、大豆、飼料作物、飼料用米、米粉用米を生産する農業者支援のため3015億円を計上しています。かつては減反政策をとってきたのですが、最近は新市場開拓用米など従来のコメ作りからの転換を促す政策に変わってきているようです。
このため、全体としては農家の主食用米の作付け意欲も下がり、返って加工用米や新市場開拓用米(輸出目的)の方が主食米より上回っているのです。なので、この秋から来年にかけても主食用米が十分に行きわたらない状況が出てきてもおかしくはないのです。

いずれにしても、元来、コメの自給率はほぼ100%と言われてきたのですが、天候や消費者の行動パターン次第では、品薄や価格高騰に転じてしまうということを、今回の「令和のコメ騒動」はまざまざと見せつけたのであって、国民の命綱であるコメの安定的供給を考えるうえでの大きなきっかけになることを、切に願うばかりです。

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