アプロ君のここに注目;どうなる、2026年の日本経済

GDP成長率

人口減少の加速と人手不足、円安と物価高、金利の上昇など様々な課題を抱えながら迎えた新年ですが、今年の経済見通しについて大変気になるところではないでしょうか。「責任ある積極財政」を掲げ大型経済対策を打ち出した高市政権の強気の経済対策とその効果に注目が集まっています。そこで今回は、新年、2026年の経済見通しとその課題についてまとめてみましょう。

・2026年の景況見通し

IMF(国際通貨基金)の経済見通しによると、日本のGDP済成長率は2025年度が1.1%に対して2026年度は0.6%と試算しています。また、日本のシンクタンクは今年の成長率を概ね0.8%~0.9%と推計しており、いずれも低位ではありますが、「緩やかな回復」が見込まれています。

日銀の12月の短期経済観測調査によると、大企業を中心に景況感が微弱ながら回復していますが、2026年3月予測調査では概ね後退しています。とりわけ中小企業は、昨年12月に製造業で6ポイント、非製造業で15ポイントの後退で、今年の3月予測では製造業が2ポイント、非製造業が10ポイント後退しています。物価高による採算の圧迫、為替や金融環境の不安定化が色濃く反映されており、人材・人手不足とAI環境や投資ビジネスの置き去りなども不安定要素になっているようです。

しかし、その裏の構造をみると、大企業・輸出企業は上向きに対し、中小企業は下向きであり、富裕層は上向きに対し、低中所得層は下向きという「二極化」がこれまで以上に進むことが懸念されます。円安や物価高の中、大企業は価格転嫁が進み、設備投資も堅調とみられ、株高の資産効果で富裕層の消費も底堅い一方で、中小企業は関税や円安によるコスト増を価格に転嫁しきれず、賃上げにも体力を削り、物価高の中で低所得層の生活苦が年をまたいで憂慮されるところです。

・いくつかの注目ポイント

2026年の経済見通しを展望するうえで、いくつかの重要ポイントについて取り上げてみます。

まず第一に、物価高が常態化することが予測されることです。
大規模な値上げラッシュは2026年春にかけて一時収束するが、持続的な値上げは常態化することが予測されます。帝国データバンクの調査によると、2026年1月~4月の食品値上げ予定は、約3,600品目で前年同期の6,100品目から4割程減少するようです。年間でも15,000品目前後と、2025年の20,000品目超から約3割減る見込みです。しかし、原材料高や円安、人件費増などの構造的要因は解消しておらず、毎月1,000品目前後の値上げが常態化し、平均値上げ率も14%前後と依然と高水準になることが見込まれています。

第二に、賃上げの見通しです。
今年の賃上げ率は概ね5%前後と予測されています。連合の2026年春闘方針によると、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ要求は全体として5%以上で、中小労働組合が6%以上としています。

生産年齢人口の減少が不可避な状態で、構造的人手不足による人材確保が喫緊の要求で賃上げせざるを得ない状況にあることや、大企業をはじめ企業収益の高水準と内部留保金が過去最高にあり賃上げ余力は十分にあること、また、前年比3%越えの消費者物価に対する賃上げ圧力の高まりが広がっていることを勘案すると、3年連続で5%前後という高水準を維持することが想定されます。

ただ、最大の問題は中小企業への波及です。中小企業の中には収益が伴わない無理な賃上げが資金繰りを悪化させているケースが増えており、「賃上げ疲れ」の状態があらわれているのです。
帝国データバンクの調査によると、物価高の中で中小企業の価格転嫁率は39%に低下しており、特に人件費の転嫁率は32%と低い状態にあります。

注目せざるを得ないのは、このような状況下で物価高やで賃上げに対応できず、「物価高倒産」や「人手不足倒産」が中小零細企業で急増していることです。2024年~2025年にかけて2年連続で1万件を超える倒産の内、負債1億円未満の小規模倒産が7割以上を占めているのですが、特徴的なのは昨年の「人手不足倒産」が過去最多(202件)を記録したのです。

第三に、日銀の金融政策です。
2026年の日銀の金融政策は、引き続き値上げ路線を維持する見通しです。日銀は賃金と物価がともに上昇するメカニズムが働くシナリオに自信を深めているようですが、今年の春闘で堅調な賃上げが確認できれば、さらなる利上げに踏み切る可能性が高いとみられます。

周知のように、日銀は24年3月にマイナス金利政策を解除し、大規模緩和に終止符を打ち、その後も段階的に利上げし、昨年12月には政策金利を0.75%に引き上げました。これによって政策金利は1995年以来の高水準となり、約30年ぶりに0.5%の壁を越えました。日銀は景気を刺激も抑制もしない、いわば「中立金利」について1%~2.5%程度と推計しているようで、当面としては下限である1%に向けて0.25%引き上げる可能性が高いと予測されます。

問題は、金利上昇の影響が今後どのように波及していくのか懸念される点です。
現在の日本経済の全体像からすると、決して経済が強い状態ではないでしょう。経済の実態からみると金利引き上げは大きなリスクを伴うのです。
企業にとってはゼロゼロ融資の借り換え返済が始まり、金利が上がれば資金繰りはさらに厳しくなることが予想され、売り上げが上がっても資金調達ができない中小企業が増え、倒産増へと繋がる恐れもあります。

国家財政に目を向けえると、周知のように政策金利が引き上げられることで国債の金利は上がり、利払い費の増加により一層の財政悪化を招くことになるのです。その結果、国の債務が膨れ上がり財政危機を増幅させることになりかねないのです。

・問われる政府の舵取り

不安定要素が多々見られ、課題が山積する今年の経済の行方を展望するうえで、何より問われるのは政府の舵取りではないでしょうか。

昨年末に発足した高市政権は積極財政に舵を切ったのですが、国債頼みの大型補正予算編成などが市場に嫌われ、景気や物価に響く長期金利の上昇や円安の洗礼を浴びています。物価高の主因である円安阻止を主眼とした日銀による政策金利の引き上げにも市場は反応せず、円安が膠着状態にあります。

そんな状況で迎えた新年、日本経済の大きな課題の一つが物価上昇に賃金が追い付かず個人消費の低迷が続いていることですが、政府・日銀ははたして物価上昇に歯止めをかけ、経済の浮揚につなげられるのかが問われています。

政府は過去最大の122兆円の予算案を閣議決定したのですが、すでに市場ではその副作用も出ていて、借金依存による財政悪化への懸念もあり、円安が進んでいます。このような状況を踏まえ、積極財政だけでは日本経済を復活させるのは難しく、かえって財政が悪化して円安や金利上昇を招くといった弊害を懸念する職者が少なくないようです。

また、「強い経済」を実現するためと称した総合経済対策が、デフレを前提とした認識に基づいたものとして、もはやインフレ状況にある日本経済の実態と異なるとの指摘が出ており、物価が上昇している中で、積極的な財政政策を打つとインフレ率はさらに上昇する怖れが高いと懸念する声も多くみられます。

国内では2%超の物価上昇が3年半以上続き、暮らしを圧迫しています。大企業を中心に底堅い業績から、賃上げが一定程度進むと思われますが、地方や中小企業、非正規雇用などには十分に及ばず、格差は一層広がることが予想されます。

2026年の日本経済の最大の課題は、インフレを克服しつつ持続的成長を実現することにあるだけに、デフレ時代の発想と短期的な人気取り政策から脱却し将来の成長基盤に投資する政策への転換が望まれています。
2026年は、日本経済が停滞を続けるのか、それとも供給力主導の成長軌道へと踏み出すのかを分ける決定的な分岐点となるでしょう。

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