物価の上昇が収まる気配が見えない中で賃上げ問題が関心をよせています。
物価が上がる反面、賃金は上がらないとすれば、当然に生活負担が増えることになるのは言うまでもないでしょう。
そこで、今回はそれにちなんで賃金という側面から、その関係を探ってみたいと思います。
・名目賃金とは
賃金は労働者の生活水準を判断するうえで、名目賃金と実質賃金に分けることが出来ます。
まず名目賃金とは、労働者が働いた報酬として受け取る貨幣賃金のことをいいます。すなわち、月給なり日給をおカネで受け取った時の貨幣額が名目賃金です。例えば、月給が30万円であるとか、日給が8千円だとすると、その金額で表した報酬額が名目賃金なのです。
・物価と実質賃金
それに対して、実質賃金は名目賃金で受け取ったおカネで購入することが出来るモノやサービスの量で表したものといえます。なので、実質賃金を判断する場合、一方では名目賃金そのもののおおいさと、他方では生活をするうえで利用するあらゆるモノやサービスの価格水準をみなければなりません。
例えば、名目賃金が変わらない状況で、モノやサービスの価格、すなわち物価が上がった場合は実質賃金が下がったことになります。もし名目賃金が上昇しても、それ以上に物価が」上昇すれば、やはり実質賃金は下がることになるのです。名目賃金が2%上昇しても、物価が3%上昇するとなると、結局は実質賃金は下がることになるのです。
こう考えると、人々の生活水準を判断するうえで基準となるのは、名目賃金ではなく実質賃金といえるでしょう。
そこで、現実問題に目を向けてみましょう。
・生活水準は実質賃金で決まる
厚生労働省によりますと、働く人一人当たりの昨年の現金給与の総額は前の年と比べて2.1%増えたそうです。ちなみに、これは1991年以来31年ぶりの伸び幅だそうです。
一方で、物価の変動を反映した実質賃金は前の年に比べ、0.9%下回ったようです。
これは、昨年の物価上昇率が名目賃金の上昇幅より上回った結果と言えます。
昨年の度重なる値上げラッシュの結果、物価がかなりのペースで急上昇したのは周知のとおりですが、これによる国民の生活負担は増すばかりで、この負担を軽減するためには物価上昇率を超えた賃金アップが不可欠なのです。つまり、実質賃金が上昇しなければ生活改善はしないと言えるでしょう。
現状をみるかぎり、賃上げにより名目賃金は増加傾向あるものの、物価の上昇に賃金が追い付いていない、いわば実質賃金が上がってないのです。
今年に入っても、再び値上げラッシュに見舞われており、物価上昇の波は依然として収まる気配が見えない中、春闘や企業の賃上げの行方が注目のまとになっているようですが、どうやら物価上昇以上の賃上げまでは期待できないのが現実のようです。
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