値上げラッシュが本格化した2022年以来すでに4年目を迎えているのですが、一向に収まる気配がみえず、長期化の様相をみせています。恒常化する値上げラッシュと物価高は消費者にとって厳しい生活負担として重くのしかかっており、早急な物価高対策が渇望されています。
今回は、恒常化する値上げラッシュの問題点と見通しについてまとめてみます。
・値上げラッシュの恒常化
2022年以降、毎年のように値上げラッシュが繰り返されてきたのですが、今年は一層最たる様相をみせています。
直近の状況をみると、8月の飲食料品の値上げは1010品目、値上げ1回当たりの値上げ率平均は11%で、前年同月比で52.8%増。9月は1422品目で値上げ率平均は14%となり、前年同月比0.6%増、これで9か月連続で前年を上回り、連続増加期間としては8月に続き、2022年の統計開始以来で最長を更新しました。また、単月の値上げ品目数としては4か月連続で1千品目を超えました。
そのような流れの中で、10月1日からの食品や飲料品の値上げは実に3000品目を超えるとされています。それに加えて電気代やガス代などの光熱費も政府の補助金が終了して値上がりするようです。このような値上げの中でペットボトル飲料は200円台なる商品も出てくる有様で、異常な値上げと言っても過言ではないようです。
このような値上がりを通年で見ると、12月までの公表分で累計2万381品目(帝国データバンク調べ)に上るようで、年間の値上げ品目は値上げラッシュが本格化した2022年に並ぶ可能性が高まっています。
このように2022年以来、値上げラッシュは恒常化しており、値上げの勢いは収まるどころか、ますます強い状態が続いていると言わざるを得ません。
・収まる気配がない値上げラッシュの背景と要因
恒常化している生活必需品の値上げラッシュは、言うまでもなく物価高を後押しして、家計に大きな負担になっているだけでなく、主に中小企業や小規模企業にも悪影響を及ぼしており、社会全体の将来に不安を投げかけています。
問題は何故このような値上げラッシュが恒常化しているのかということです。
値上げラッシュと物価高の要因として、前年の全国コア円安によるCPI(消費者物価指数)が前年比で上昇していることや、円安を背景とした原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増や人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なっていることがあげられますが、とりわけ注目されるのが、最近においては人手不足と賃上げによる要因が大きく影響していることです。
すなわち、物流費や人件費はともに前年から大幅に増加している一方で、円安を要因とする値上げは前年から大幅に低下しており、飲食料品の値上げは人手不足や賃上げなどの国内的要因による物価上昇に起因したものにシフトしているのです。
2025年の飲食料品の値上げは、原材料高に加えて物流費や賃上げによる労務費など、粘着性が高く、国内の経済情勢に起因した圧力が高まっていることが見て取れます。要するに、国際的な小麦・食用油や原油価格の高騰、急激な円安による輸入物価の上昇など、一過性とみられた外的要因による物価高が主だった2023年~2024年前半の値上げラッシュから持続的で内的要因によるインフレ傾向に変化しているのです。そのため、継続的な価格引き上げが不可欠となっていることも、比較的低位に抑制された昨年から値上げ品目数が大幅に増加する要因となっているのです。
・長期化する値上げラッシュ
食品メーカーが人件費や物流費などの恒常的なコスト増加を想定していることから、食品の値上げは長期化する可能性が高いと思われます。
昨今、賃上げ問題が社会的関心事として注目されているのは周知の通りですが、足元では2025年度の最低賃金は全国加重平均で1118円で、前年度比6.0%の引き上げとなり、全都道府県で最低賃金が千円台に到達する見通しのほか、物流費でも「2024年問題」をはじめドライバー不足を背景に運賃引き上げが続き、賃金上昇による物価上昇の内的要因によるインフレ傾向が出始めているのです。
そのため、これまでの一時的なコストプッシュに対応するための値上げ措置から、恒常的なコスト増を想定した継続的な値上げ戦略へ移行する動きもみられ、飲食料品をはじめ生活用品の値上げは長期かつ恒常化する可能性が高いとみられます。
近年、日本でもようやく賃金(名目賃金)が目に見える形で増加してきてはいるのですが、実質賃金は一向に増えずマイナス傾向にあるのは、賃上げによ人件費コストの上昇が、価格転嫁による値上げラッシュを招くという、賃上げとと物価上昇の「悪循環」を生み出しているのにその原因があると言えます。
年金生活者や低所得者はもとより、中小企業をはじめ小規模企業の労働者にとっては、比較的賃上げが低位にあり、価格転嫁による値上げラッシュが断続的にひきおこされることで、今後、一層の家計への負担が増えることは避けられないでしょう。
また、「物価高倒産」が出始めているように、サービス業や小売業をはじめ、物価高の下で価格転嫁しづらい企業にとっても大きな痛手になることが考えられるでしょう。
一刻も早く物価高対策が渇望される所以ではないでしょうか。

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