衆議院選挙は自民党の歴史的な圧勝に終わり、物価高をはじめ経済がどう好転していくのか関心があつまる一方で、「日本の経済格差」は益々広がるのではと懸念が高まりつつあります。実体経済とは遊離して最高値を更新している株高がみせているように、「持てる者と持てない者の格差」や所得格差など格差問題が一層顕著に表れてくることが予測されます。
・広がる経済格差の現状
経済格差とは、国や人々の間で経済的な豊かさ、つまり貧富の差がある状態を指します。保有する資産や所得、生活環境の優劣などの差が社会構造的に常態化して表れることです。
経済格差は世界的に拡大傾向にあるのですが、日本でも1980年代から格差の拡大が顕著にあらわれ、特に1990年代のバブル崩壊以降、「格差社会」という言葉が注目されるようになりました。
経済格差を示す最も具体的要素が所得格差ですが、この所得格差を示す指標としてよく使われるのが「ジニ係数」です。ジニ係数とは、国全体の所得や資産が各家庭にどれくらい平等に分けられているかを示す指標です。1936年にイタリアの統計学者コンラッド・ジニによって考案されたことから、ジニ係数と呼ばれるようになりました。
0に近いほど格差が小さく、1に近いほど格差が大きいことを表しています。一般的にジニ係数が0.5を超えると所得格差がかなり大きい状態とされており、何らかの是正が必要になってくるといわれています。
さて、このジニ係数をみると、日本の場合、約この40年で大きく増加ししており、一つの目安と言われている「0.4」を大きく超えています。例えば、日本のジニ係数は1981年当時で「0.349」であったのが、2023年には「0.585」に増加しているのです。
また、厚労省によると、生活保護世帯が増加し、2023年度には165万世帯に達しているほか、世帯所得の中央値は、1995年の550万円から2023年には410万円となり、直近の約30年で140万円減少しています。
その一方で、富裕層は増加しており、例えば純金融資産1億円以上の世帯数は2倍近くに増えており、その世帯が持つ金融資産の総額は2倍以上に増えています。例えば、2005年度の純金融資産
1億円以上の富裕層は86万世帯で、金融資産は213兆円だったのが、2023年度には165万世帯、金融資産は469兆円に膨れ上がっています。
・経済格差拡大の原因
経済格差が生じる原因は多岐にわたりますが、最も注目されるのは賃金格差や雇用環境、所得分配の不均衡などがあげられます。
とりわけ、1990年代以降経済格差が拡大した原因としてあげられるのが、非正規雇用の拡大です。1999年と2004年の法改正により非正規雇用の範囲が拡大したのですが、1989年に19.1%であった非正規雇用が2024年には36.8%まで増加しています。つまり、3人に1人が非正規雇用者ということです。
このような非正規雇用の増加は雇用労働者の所得格差に直接影響を与えます。
日本では正規雇用者の平均年収が約530万円に対し、非正規雇用者の場合は約200万~300万円台で、生涯賃金でみると男性では平均5800万円以上、男女平均では約4300万円の格差が生じているようです。
経済格差の拡大は昨今の物価高や株価の上昇も影響していると言えます。
収まる気配のない昨今の物価高は、低所得層ほど食料品やエネルギー関連の支出の割合が多くなっている一方、物価による資産価値の上昇は富裕層に恩恵をもたらしています。
また、2010年代以降の株価上昇は、円安を背景に輸出企業などの大企業が潤い、雇用が改善されて大企業の正社員をはじめ被雇用者の所得が増えている一方で、中小・零細企業労働者の実質賃金は上がらず、投資していない人への恩恵は皆無の状態にあります。
・格差拡大の問題点
問題は経済格差が広がるとどういう弊害があるかということです。
第一に、なにより消費低迷をきたし経済全体に悪影響を与えることです。
格差が生じて資産や所得が富裕層に集中すれば消費に回るのは所得の一部であり、多くは貯蓄や投資に流れることになります。その結果、社会全体として消費支出が減り個人のみならず、社会全体の成長にも悪影響を及ぼし、経済成長を阻害する可能性があるのです。
経済学では「消費性向」が下がることは経済成長を妨げる要因となり、所得の再分配を重要な施策として取り上げています。
第二に、「教育格差」を広げることにも影響します。低所得層は教育への投資ができず、その結果、将来的に国全体の生産性が落ちることになるのです。世界的にも問題視されていますが、近年、日本でも経済格差の影響により「教育格差」が社会的な問題となっており、教育の機会や質の差異が課題とされています。
第三に、税収への影響も無視できません。個人消費が減り企業の収益が減ることにより、法人税などの税収が減ることに直結します。その結果、社会保障などの維持が困難になり、その穴埋めとして増税に頼ることや財政悪化にも影響を与える可能性があると言えます。
第四に、教育や雇用の機会に恵まれず、低賃金と重労働の仕事にしか赴けない人が増え貧困から抜け出せない、いわば「貧困の連鎖」が起こる可能性があります。近年、労働者階級内部の格差が広がり正規雇用に赴くことが出来ない、いわば「アンダークラス」と呼ばれている層が増えているようですが、これは政府による労働規制緩和政策と多くの大企業が人件費削減により利益を確保するため非正規雇用を拡大してきた産物なのです。
その他にも、ごく僅かな人間が資産を独占し、資産を持たない人が大量に存在すると、社会不安が増大し、治安悪化や、「持てる者」と「持たざる者」といった社会の分断につながることも考えられます。昨今の少子高齢化の加速や、強盗・殺人のような犯罪が増え続けているのは、貧富の格差や教育格差の広がりと決して無縁ではないように思えます。
経済格差とそれによる影響は、個人の努力や工夫では解決できない社会の構造的問題が横たわっているだけに、格差拡大や貧困層の増加を放置せず、公正な所得分配をめざす課税制度や雇用安定化や教育機会の均等化など、一刻も早い社会の取り組みが必要ではないでしょうか。
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