「年金改革法案」成立に思うこと(2)
「年金改革法案」のもう一つの注目点は、パートなどの非正規雇用で働く人たちに厚生年金の適用を広げている点でしょう。
非正規雇用で働く適用の有無が事業所規模によって異なることは、本来あるべき姿ではないという観点からして歓迎すべきことだと思います。
今までは、短時間労働者の厚生年金適用は従業員数が501人以上の事業主に限定されていましたが、改正法では2022年10月から101人以上、2024年10月からは51人以上へと適用範囲を緩和されることになっています。
当然、最終的には事業所規模要件の撤廃を目指すべきであり、一刻も早く短時間労働者の年金確保ができるようにすべきではないでしょうか。
非正規雇用が増え続けている現在の雇用環境からして、早期に適用拡大のスケジュールを示すことが望ましいと思うのですが、ただ、今回の改正によって現段階で解決すべき課題も少なくないように思います。
厚生労働省の試算によると、今回の改正による厚生年金適用者は2024年10月時点で、約65万人増える見込みで、パート1人につき企業の保険料負担は健康保険と合わせて、年間で約25万円増になるそうですよ。
当然、企業にとってはかなり重い負担になるわけで、思惑通りに進むのか懸念されるところだと思います。
それでなくても、新型コロナにより深刻な影響を受けている現状を考えると、そう簡単なことではないようです。まして、コロナの直撃にあっている外食産業や小売業、観光業などにおいては課題が山積みと言えるでしょう。
どう見ても、行政府の支援やテコ入れは必須と言わざるを得ないですね。
繰り返しになりますが、非正規雇用の増大が目立つ昨今、短時間労働者の年金確保とともに、将来世代の年金を保証するための行政府の責任ある対処を切に願う次第です。
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