アプロ君のいちからわかる経済教室(2)市場価格

2022年4月6日

前回、現代社会は「交換経済」、すなわち「商品経済」に基づいていることについて確認しました。
それでは、「商品経済」のもとで人々の交換行為はどのような仕組みによって行われているのでしょうか。

私たちが日常生活の中で経験しているように、商品の売買はけっして個々人が自分の判断で思いのままで行うわけにはいかないはずです。
例えば、ある商品に対して買い手が自分勝手に価格を決めて代金を払うことはありえないことですよね。売り手の意向も無視できないはずですよね。買い手が1,000円で買いたいと思っても、売り手が1,200円でないと売らないとするならば、交換は成立しませんよね。
なので、売り手と買い手の妥協点においてはじめて交換はなりたつのです。これは結構、目に見えない対立が潜んでいると言えますよね。と言いますのは、売り手は出来るだけ高く物を売ろうとし、逆に買い手は安く買おうとするからです。
結局、商品の売買が成立するためには売り手と買い手の両側が、どこかで妥協点を見いだすしかないのです。それが、市場における値段、すなわち市場価格なのです。

では一体、その妥協点となる物やサービスの値段=市場価格はどのようにして決まるのでしょうか。
要するに、ある商品が1,000円だとすると何故に1,000円なのかということです。
例えば、自家用車1台を購入するのに数百万円もしますし、あるいはテレビやエアコンなど家電製品などは数万円から数十万円もしますが、これらの商品の値段(価格)は一体どういう仕組みで決まるのでしょうか。

実はこの問題、そう簡単ではないのです。
ある説によれば、財・サービスの値段はその使い道が広いとか、使う人にとって与える満足度が大きいほど高く値段が設定されるというのです。言い換えれば、財やサービスの有用性によって値段が決まると主張するのです。
この見解、一見それらしきごとく聞こえますが、使い道や有用性、それを利用する人にもたらす満足度(効用)というのは人によって千差万別なのです。勿論、ある財の有用性というのはある程度一定していると言えるでしょう。
例えば、自家用車は人を乗せて別の場所に移動する時間を短縮させることや、テレビは情報媒体として人々にあらゆる情報を与えたり、娯楽手段としての有用性をもっていると言えますよね。
これはこれらの商品がどのような有用性もっているのか、一般的な規定として言えるでしょう。
しかし、実際のところテレビをすでに何台ももっている人にとっては、テレビよりも冷蔵庫や掃除機などの家電製品がより嗜好性が高いはずです。だとすれば、その人にとってはテレビより掃除機のような家電のほうがより満足度が高くなるということです。

そういう意味では、財やサービのう有用性やそれによる満足度で値段が決まるというのは客観性に欠けると言えるでしょう。極端な話、自家用車を数十台所有している人にとっては、車よりサイクリング用の自転車の方がより大きな満足を与えるかもしれないのです。

では、私たちが日常生活で使用する商品としての財やサービスの価格は如何にして決まるのでしょうか。

先ほど、売り手と買い手の妥協点において価格が決まると言いましたが、これを言い換えれば、買い手(需要)と売り手(供給)の関係において価格が決まるということなのです。すなわち、需要と供給の関係において市場価格が決定するということです。
供給が一定のもとで需要が多ければ価格は上がり、需要一定のもとで供給が多ければ価格は下がるのです。

このように需要・供給の関係で価格が上げ下げするのですが、ここで問題になるのは、一体何を基準として価格が上がったり下がったりするのかということです。必ず、価格の上下運動はある一定の基準、基になる中身が存在するはずです。需要・供給によって上げ下げする価格というのは、その内実の現象にすぎないのです。
それでは一体、その中身になる内実のもの、実体とは何かが問われなければならないでしょう。

それについては次回詳しくみることにします。

にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 経済ブログ 経済学へ
にほんブログ村

Follow me!