財務省が発表した20年度の一般会計決算によると、コロナ対策で過去最大の175兆円まで膨らんだ2020年度の国家予算のうち、約2割に相当する30兆7,800億円が使いきれず、21年度に繰り越されることになりました。
コロナ対策などで3回も補正予算を積み上げたのですが、結果的には多くの事業で執行が滞り、必要な支援が届いてないことが浮き彫りになったと言えます。
繰越額は過去最大でこれまで最大であった東日本大震災後の12年度の7.6兆円を大幅に上回ったのです。
繰越金のうち、15兆円以上はコロナ関連だとされていて、ある程度多めの予算を確保したという事情もあるのですが、注目すべき問題はなるべく早く執行すべき事業まで遅れている点です。
その典型例が、飲食店に配る時短協力金などにあてる「地方創生臨時交付金」ですが、自治体での給付業務が遅れ3.3兆円が繰り越されました。再度の緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」などの発出による休業・時短要請により経営難に追い込まれた飲食関連の業者は瀕死の状態にあるにもかかわらず、協力金の支給が大幅に遅れ資金繰りに困り、廃業に追い込まれた例も少なくないのを思うと、無責任極まる事態としか言いようがないですよね。
コロナ患者の受け入れに協力する病院に配る「緊急包括支援交付金」も、手続きの煩雑さなどから給付が進まず、1.4兆円が使いきれなかったようです。
この点においても、医療関係従事者の命がけの賢明な対応のなか、医療機関や医療従事者などへの補償が行き届かず多くの犠牲が払われている現実を考えると後手後手の政府の対応に憤りさえ感じてしまいます。
このほか、観光業をはじめ感染拡大の影響を直接受けた事業に対しても、対応が遅れその分の予算が繰り越しになとのです。
こうみると、補正予算を組み、規模ありきで対策を積み上げたにもかかわらず、多くの事業で執行が滞り必要な支援が行き届かなかったことに尽きると言えるでしょう。
問題は、そのために飲食をはじめ多くの企業や個人業者が廃業に追い込まれたのです。
この問題を政府はどう捉えているのでしょうか。
1年半が経った現在、新型コロナウイルスは収束どころか再度の波を経て、より深刻な様相をみせているのですが、21年度の予算執行においてスピード感ある対応で対処してもらいたいですね。


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