先日、日銀が発表した4-6月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産の残高が6月末の時点で前年同月比6.3%増の1,992兆円となり、過去最高を更新したようです。
内訳をみると、金融資産の5割強を占める「現金・預金」が前年比4.0%増の1,072兆円、「株式など」は30.0%増の210兆円、「投資信託」は28.7%増の89兆円、「保険・年金など」は1.5%増の538兆円。
注目すべき点はまず、預金残高が970兆円で過去最高であること。新型コロナの感染拡大による消費抑制が続いたことなどが影響したとみています。
次に目を引くのは、株式や投資信託などの資産が急増していることですね。コロナ禍においても株価の上昇などで資産の時価評価額が膨らんだことが影響したようです。コロナ禍で、株式など投資信託の受益が30%近く上昇していることに注目したいですね。
ちなみに、2020年度末の時点で家計が保有する金融資産は、2019年度末に比べ151.4兆円増加して1968兆円だったので、6ヶ月の間で24兆円の増加ということが確認できます。
家計とは雇用主、被用者、個人事業主、財産・移転所得の受給者等から構成される消費活動及び生産活動を行ういわゆる一般家庭などの小集団の集合体と定義さてれいます。
この2年間、コロナ禍全体として経済が疲弊して、被雇用者にしろ個人事業者にしろ、厳しい状況に追い込まれているのが現実なのです。
このような状況で、コロナ禍のこの1年半で家計の金融資産が増加し、過去最高を更新することはちょっと不可解に思えてなりません。
要するに、全体としての資産は増えていますが、格差拡大のなかで富裕層の金融資産が増えたことに起因しているのではないでしょうか。
株価の上昇などによる投資の受益増の恩恵を受けている人も、もともと金融投資が出来るだけの経済的余裕のある人に限られるわけであって、生活苦に追われている人にとっては無縁なのです。
民間企業で働く会社員などが受け取った平均給与は2年連続で減少しており、コロナ禍で失職に追い込まれて収入が激減している人たちもたくさんいるのです。そんな中で現金・預金の資産が増えているのは富裕層の資産増加によるものであって、けっして国民全体の金融資産の増加を表しているものとみるわけにはいかないでしょう。
あきらかに格差の拡大を物語っているとしか思えないですね。


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