貨幣の機能として最後に支払い手段としての機能についてみたいと思います。
支払い手段としての機能とは、貨幣があらゆる支払い義務を履行するのに利用されることです。これは、商品の代金を一定期間が過ぎた後に支払う場合に貨幣が果たす機能と言えます。
私たちの日常生活において度々経験することですが、クレジットを利用して商品を買う場合、支払い期日が到来した時におカネを支払いますが、この時のおカネの役割が支払い手段としての機能です。
少し難しい言い方をすると、商品の譲渡と商品の価格の実現が時間的に分離することになるのです。必要とする商品を先にもらい、代金は後で支払うということです。家屋や自家用車などの高額商品を購入する場合、ローンを組んで長年にかけて代金を支払うことがほどんどのケースですよね。
この時、おカネは支払い手段として機能しているのです。
ところで、貨幣が支払い手段としての機能を果たすことによって、商品の売買における信用関係が発達するようになります。とりわけ、企業間の信用による連携と依存性が高まるのです。
現代社会において、業種にもよりますが企業間の売買は、ほとんど現金取引をしないですよね。これは企業間の信用関係が拡大している表れと言えるでしょう。
要するに、信用による債権・債務関係が拡大していくのです。
ところが、このことを裏返して考えてみると、この信用関係をもとに取引が増えていくと、万が一ある企業間の取引で信用関係が崩れると、社会全体の信用関係に影響して経済全体が混乱する可能性が出てくるのです。
日本でも、かつて企業と銀行間の信用取引が崩れることによって全体経済が金融危機に陥ったことも経験しているように、債権者と債務者の信用が連鎖のごとく結び付いている現代社会の盲点でもあるのです。
貨幣の支払い手段としての機能において、こうした危険性を孕んでいるのです。
現金がなくても物やサービスを得ることが出来る信用売買の便利性の裏には、少し踏み外せば大きな混乱を招くというリスクが付きまとうことを忘れてはならないでしょう。
以上、貨幣の機能(役割)について数回に分けてみてきましたが、現代社会においておカネ(貨幣)の果たしている役割がいかに大きいか、よくお解り頂けたと思います。
そこで疑問になるのは、そのように大事なおカネなので一国において可能な限りたくさんのおカネを流通させればいいのではと思ってしまうのですが、ところがそうではないのですよ。
無制限におカネが出回ると、かえって経済は混乱をきたすのです。
例えば、カネ余り現象で象徴的なことはインフレですよね。インフレが起きると物価が上がり物が買いにくくなるのです。
そういうわけで、国ごとにおカネの流通量を一定額に調整されているのです。
そのことについて次回に詳しく見てみたいと思います。


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