アプロ君のいちからわかる経済教室(7)貨幣の機能③
今回は貨幣の役割、第三に蓄積手段としての貨幣についてみたいと思います。
蓄積手段の機能とは貨幣が富を蓄蔵する手段として利用されることです。
先にみたように、貨幣は一般的等価物として、いつ、どこでも、どの商品とも交換することが出来るので、後で必要な物やサービスを購入するために貯めておくことが出来ます。
簡単な言い方をすれば、人は財産として蓄積する場合、おカネで貯めておくことが一般的行為と言えます。
勿論、土地や家屋などの不動産、ダイヤモンドなどの装飾品という形態で財産を所有することもありますが、結局はこのことも一定の貨幣額として計算されるのです。
そういう意味では、おカネが世に使われてからはおカネの形で財産を蓄積するのが一般的なのです。
この時、貯めておく貨幣を蓄蔵貨幣(蓄積貨幣)といいます。
例えば、企業の内部留保金や企業会計における現金・預金などもそうですね。
このように、商品生産社会において貨幣は社会的富の一般的形態なのです。
人間の物欲は誰しもがもっているのですが、商品・貨幣経済へ移行してからは、その性質が一変してしまうのです。つまり、コメなどの食料品は現物形態で富を貯める場合、一定の量的制限がありますが、おカネの形で財産を蓄積する場合は無制限に蓄積欲が出てくるのです。
要するに、コメを貯める場合はある程度の量があればそれ以上は要求しないのですが、おカネの場合はいくらあってもいいわけで、より多くの蓄積を望むのです。
言い換えれば、富の社会的表現である「貨幣を蓄積しょうとする意欲は限りなく高まり、致富欲から生まれる貨幣蓄積への衝動は無限」なのです。
現代社会において、おカネにまつわる災難や事件が後を絶たないのは、このことと関連していると言えるでしょう。貨幣蓄積欲が人間や人間社会そのものを変えると言っても過言ではないのです。
崇金主義や貨幣万能主義的な考えが横行しているのも、貨幣の蓄積手段としての機能と関連しているのです。


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