アプロ君のいちからわかる経済教室(6)貨幣の機能②
今回は貨幣の流通手段としての機能についてみたいと思います。
流通手段の機能とは貨幣が商品の交換を仲介する役割のことを意味します。
商品経済の歴史からみると、交換行為の初期は物物交換でした。例えば、コメと靴、塩と衣服の交換といったように直接、所有者どおしが欲しいものをお互いに交換することから始まったのです。しかし、貨幣が発生してからは物物交換ではなく貨幣が介在するようになったのです。
靴を浴しているコメの所有者がまず先にコメを売って貨幣を得てから、その貨幣で靴を買うという行為に変わったのです。要するに、おカネさえあればどの商品とも変えることが出来るので、まずおカネに変える行為が一般化していったのです。こうして、商品交換が活発になるにつれ、商品交換の仲介者として貨幣が機能することになったのです。
このように貨幣を仲介としておこなわれる商品交換を商品流通といいます。貨幣の流通手段の機能と関連して付け加えておきたいのですが、今、私たちが使っているおカネは紙幣をはじめ小銭で使用している銅やアルミ、ニッケルなどの金属で作られた、いわば金貨の代理物がありますよね。
なぜ、このような紙幣や金でないものが貨幣として流通するようになったのでしょうか。もともとは金貨が貨幣として流通していたのですが、流通過程において徐々に金貨の代理物が使われるようになったのです。と言うのも、貨幣が流通手段として機能する時は現金そのものが必要であって、商品の流通とともに貨幣としての金貨も流通するので、それが長期間にかけて繰り返し行われる過程で摩滅し、本来の貨幣重量を保つことが困難になるのです。
そこで、実質的重量と名目的重量間にちょっとした乖離が出来ることが、しばしばあらわれたのです。
そういう過程を経て、実際の価値(実質的重量)でなくても国が認めた名目的な価値(名目的重量)で通用できるようになったのです。
こうして、実質的価値と名目的価値が必ずしも一致しなくても貨幣は流通手段として、その機能を果たすことが出来たのです。その象徴が紙幣なのです。紙幣は紙で作られており、その実質的価値は微々たるものですが、1万円札は1万円の価値物として、1万円の商品を買うことが出来るのです。
このように、国家によって強制通用力が与えられた貨幣記号がすなわち紙幣なのです。紙幣自体は応分の価値が無いにもかかわらず、法的に規定されたものとして価値を名目上、表している貨幣の代用物にすぎないのです。
本来は金そのものが商品の流通を仲介していましたが、現在は金の代わりに紙幣がその代役を果たしているのです。ちなみに、日本の1万円札の製造コストは約4円だそうですよ。ということは1万円札の価値そのものは4円ということになります。しかし、1万円札は1万円の商品と交換できるのです。
ちょっと不思議な感じもしますが、現代社会においてこの紙幣が私たちの経済活動において、大変重要な役割をしているのは、日々の経験で味わっていることだと思います。


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