アプロ君のいちからわかる経済教室(17);資本の蓄積②

前回、資本の蓄積過程について述べたのですが、資本の蓄積過程そのものは資本の量的拡大を意味しているのですが、実はこの過程で資本の質的構成をも変化させるのです。
そこで、今回は資本の蓄積過程で資本の構成がどのように変化するのかについてみたいと思います。

すでにみたように、資本は機械や設備などの生産手段と労働力を商品として購入するのですが、この場合、生産手段と労働力は一定の技術水準のもとで量的に一定の比率関係が形成されます。言い換えれば、設備や機械の量に応じて雇用する人の数も決まってくるのです。
なので投資する資本も、生産手段と労働力の量に応じて一定の比率関係のなかでその額が規定されると言えます。

要するに、生産手段に投資される資本部分であり不変資本と、労働力商品に支出される資本部分である可変資本の量は生産手段と労働力の比率関係を反映しているのです。
生産手段と労働力の比率関係を反映した不変資本と可変資本の比率関係を資本の有機的構成といいます。
例えば、1億円の資本金で不変資本に8千万円、可変資本に2千万円をそれぞれ投資したとすれば、この場合、資本の有機的構成は8千万円:2千万円=4:1となります。

資本の有機的構成はすべて一律ではなく、各分野においてもまた企業ごとにおいても差異が出てきます。
先に述べたように、技術水準に応じて機械や設備と労働力の量が規定されるので、比較的に技術設備のレベルが高い分野や企業においては、そうでない分野や企業に比べて労働力が少なくてすむのです。そのため、技術設備の高い分野や企業ほど不変資本に比べて可変資本の比率が少ないと言えます。
このように、投資される総資本のうちで可変資本よりも不変資本の比率が高いことを資本の有機的構成が高いと表現します。

資本主義社会において、企業は弱肉強食の熾烈な競争のなかで利潤を追求し企業経営を営んでいることは周知のとおりです。企業は熾烈な競争のなかでより多くの利潤を求めて不断に資本の規模を拡大しようとするのです。これが資本の蓄積過程なのです。

ところで企業は、資本の規模を拡大させる場合、一般的に技術設備の改善や増大を優先させ、それに合わせて適切に雇用数を決めるのです。そういう意味では、資本の拡大は生産手段への投資、すなわち不変資本の規模の拡大が先行する傾向があると言えます。
なので、資本の蓄積とともに不変資本の量が可変資本の量よりも急速に拡大し、したがって総資本のうちで不変資本の比率が相対的に高くなるのです。

このように、資本の蓄積過程で可変資本よりも不変資本の比率が高まることを資本の有機的構成の高度化と言います。

先にも述べましたが、資本の蓄積はこれそのものは資本の規模の拡大を意味しているのですが、単なる規模の拡大だけでなく資本の質的構成さえも変えていくのです。

さて、そこで問題なのはこのような資本蓄積が社会全体のあり様に大きな影響を及ぼすのです。
この点については次回に考察することにしましょう。

 

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