先日、財務省は7月の経済情勢報告で景気判断を上方修正しました。
しかし、市場ではこの報告に対し懐疑的にみる見解が大勢をしめているようです。
新型コロナの感染が再拡大する中、企業や個人事業者の倒産が相次ぎ、景気回復の実感は乏しいと言えます。
帝国データバンクによると、コロナによる企業の倒産件数は、直近で飲食店やホテル・旅館を中心に400件を超えており、悲観的な声が相次いでいるとのことです。
また、新型コロナの影響で解雇や雇止めにあった人が7月末の時点で4万人を超えたことが厚生労働省の集計で明らかにされています。
7月以降、1か月弱の期間だけでも1万人の増加で、失業者が増加している実態が浮き彫りになっています。
そんな中、個人消費の低迷や企業収益の悪化も目立ち、軒並み大手企業においても大幅な減収減益が報告されています。
コロナの影響が長引く中で、企業収益が悪化するのはむしろこれからだと見る企業も多く、それが一層雇用環境を下押しし、個人消費の落ち込みにもつながる恐れがあるとみているのです。
ちなみに、内閣府の調査によると、60歳以上の半数が預貯金を取り崩して生活しているようです。60歳以上の人口は約4,050万人で、総人口に占める割合は約33%に及んでいます。消費動向の腰の弱さを表していると言えるでしょう。
コロナ感染再拡大の様相が浮き彫りになっていることを踏まえて考えると、景気への打撃は間違いなく、今後より深刻なものになることは必至と言えるでしょう。
企業経営者の今後の予測としては影響の長期化が大半を占めているようです。
以上のような状況からして、景気の持ち直しというのはどう見ても実感とかなりかけ離れているようにしか思えないですね。
まさに「実感なき上方修正」と言えるでしょう。
足元の景気や経済状況からして、かなりのずれがあるということだと思います。
いずれにしても、コロナの経済的影響はある意味、これからより具体的な形に、より幅広い分野で露呈することになることは十分想定できるでしょう。
近視眼的な視点ではなく、長期的視野に立った対応が切に求められているのではないでしょうか。
コメント