コロナ禍の株価に思う
東京証券取引所の株価が、新型コロナの感染拡大による急落前の水準まで回復していますね。
景気や企業業績の持ち直しに期待感が高まり、投資家のポジティブな買いの結果と見られています。
ただ、業種によって株価の回復度合いは、はっきりと明暗が分かれているようです。
コロナ禍でも業績が堅調なITやゲーム関連の株価は回復が早く、その一方で需要回復の見通しがとれない業種では苦境が続いているようです。
コロナ禍のステイホームや巣ごもり消費が追い風となり、ゲーム関連では3月の安値から2倍近い上昇をみせている企業もあり、テレワークなどの広がりによって情報・通信関連の株価も好調ですね。
それに比べて、需要の回復を見通せない空運は業績が悪化しており、株価はコロナ前の水準の回復にはほど遠い状況にあります。
また、コロナ禍、世界中で工場が止まった影響を受け、エネルギー資源の需要が急低下した鉱業関連の株価も大きく下落したままです。
今後、大規模な営業自粛要請などが避けられ、企業業績も回復に向かうとの期待が市場では根強いと言われています。要するに、コロナ対策と経済の両立は可能という見方が投資家の間で強くなっているようです。
いずれにしても、コロナ禍の株価はコロナ対策と経済回復のかじ取りに大きく関わっていることは言うまでもないでしょう。
ただ、問題は全体的な株価の回復を見た場合、その根底にはやはり、世界的な金融緩和のもとで行き場を失った過剰通貨が株式市場に流れ込んでいることに、その要因があることには間違いないでしょう。
そう捉えるならば、今の株高には慎重な判断も要求されるのではないでしょうか。
経済全体で見ると、コロナ禍の国内経済は深刻な状態にあり、景気や実体経済への影響はまだまだ続きそうです。GDP成長率が戦後最悪の落ち込みになっていることをはじめ、諸経済指標は国内経済の深刻さを浮き彫りにしています。
そう考えると、株式市場と実体経済との乖離は否定できないでしょう。
言い換えれば、株式市場はある種バブルの様相をみせていると言っても過言ではないのです。
そういう意味では、今後、短期的には業績回復に伴う一部業種の上昇はあるにしても、長期的な株価全体の動きとしては、波乱含みの展開になる可能性が高いと見るのが自然ではないでしょうか。
今後の展開に注目せざるを得ないですね。
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